📖くわしく解説します
"forty"(40)という単語、よく見ると妙なことに気づきます。元になっている "four"(4)にはしっかり u が入っているのに、forty にはどこにも u がありません。しかも "fourteen"(14)には four と同じ ou がきちんと残っています。4×10=40 のはずの計算が、スペルの世界では four から u が1文字だけ脱落して forty になる、という不思議な引き算になっているわけです。
古英語にさかのぼると、four の祖先は feower、forty の祖先は feowertig でした。tig は「10のまとまり」を意味する接尾辞で、feower(4)+ tig(10組)という構造そのものが、four と forty が同じ語根を共有していたことを示しています。中英語の時代には fourty・fourti・fuerti・vourty など、u のある綴りとない綴りが何種類も並行して使われており、1386年のチョーサーの文章にも "fourty" という表記が見つかっています。
Oxford English Dictionary の調査によれば、中英語の four と forty はもともと同じ長い母音を持っていました。ところが forty は2音節語だったため、この母音がいったん短くなり、r の前で再び長く伸びる際に、four とは違う「開いた」音へ変化したとされています。forty という綴りはこの音の変化をそのまま文字に映したもので、u を含む形では書けなくなっていきました。一方 fourteen は forty と同じ条件のはずなのに、より単純な基礎単語である four に引き寄せられ、古い ou の綴りを保ったまま今に残っています。
この違いを裏付けるのが "fortnight"(二週間、fourteen nights の短縮形)です。意味の上では fourteen の仲間なのに、綴りと発音は forty と同じパターンをたどり、こちらも ou を持ちません。つまりfort- という形は forty 側の音変化のグループ、four- という形は fourteen 側の保守的なグループに分かれているわけです。ただし、競合していた fourty という綴りが17〜18世紀にかけて廃れ、最終的に forty が標準として定着した経緯については、どの資料も決定的な理由を示せておらず、この最後の一歩は今も解明されていません。
🔊この話に出てきた英語を使ってみる
音声ボタンを押すと、ネイティブ発音で読み上げます。
❓まとめ
Q. "four"(4)には u があるのに、"forty"(40)だけ u が消えているのはなぜ?
A. 中英語の時点では four と forty は同じ母音を持つ単語でしたが、forty は2音節語だったために母音の音そのものが変化し、綴りもそれに合わせて u(ou)を欠く形に落ち着いた、というのが有力な説明です。一方 fourteen は同じ理屈が働くはずなのに、four に引き寄せられて ou を保ち続けました。