海外のレストランで "Rice, please." と言ったのに、店員さんが「?」という顔をした——そんな経験はありませんか。単語は100%合っています。文法も完璧です。それでも通じない。

原因はあなたの語彙力でも度胸でもなく、日本人のほぼ全員が共通して持っている「7つの音のクセ」です。しかも厄介なことに、このクセは自分では一切気づけません。日本語の耳には「正しく言えている」ように聞こえるからです。

この記事では、通じない原因ワースト7をランキング形式で発表し、それぞれ口の形・舌の位置レベルで「どう直すか」まで具体的に解説します。先に言っておくと、目指すのはネイティブ発音ではありません。「誤解されない、通じる発音」です。これなら大人からでも確実に作れます。

スポンサーリンク

日本人の英語が通じない7大原因 ワーストランキング

ランキングの基準は「通じなさへの影響度 × 日本人の被弾率」。第7位から第1位へ、深刻度が上がっていきます。自分がどれに被弾しているかチェックしながら読んでください(先に言うと、ほぼ全員が複数被弾しています)。

第7位:カタカナ発音の呪い

7
「アレルギー」「テーマ」「エネルギー」をそのまま英語で言う
⭕ allergy(アラジー)/ theme(スィーム)/ energy(エナジー)
カタカナ語の多くはドイツ語・オランダ語経由だったり、日本で音が変形していたりして、そのまま言うと英語として存在しない音になります。「ウイルス」もvirus(ヴァイラス)。カタカナで知っている単語ほど危険という逆転現象です。
知ってる単語ほど通じないの、理不尽すぎる。

矯正法:カタカナで知っている単語こそ、辞書アプリの音声ボタンで一度発音を確認するクセをつけましょう。「カタカナと違った単語リスト」をスマホのメモに貯めていくと、自分専用の危険物リストになります。この病気の重症例は和製英語ランキング30連発で笑いながら確認できます。

第6位:抑揚のなさ(お経イングリッシュ)

6
全部同じ高さ・同じ強さで平坦に読む
⭕ 大事な単語だけ高く・強く・長く言う
日本語は音の高低差が小さい言語。そのまま英語を話すと、ネイティブの耳には「どこが大事な情報か分からないお経」に聞こえ、集中して聞いてもらえません。英語は内容語(名詞・動詞・形容詞)を強く、機能語(a, the, of, to)を弱く言う言語です。

矯正法:文の中で「一番伝えたい単語」を1つ決め、その単語だけ2倍の音量・2倍の長さのつもりで言う練習をします。大げさすぎるくらいでちょうどネイティブの標準です。恥ずかしさを捨てた人から通じるようになります。

I REALLY like this one.
これ、ほんっとうに好きなんです。
REALLYを思い切り強く長く。平坦に言うと社交辞令、強く言うと本心に聞こえます。抑揚は感情の翻訳装置です。

第5位:アクセント位置のズレ

5
ホテル(ホにアクセント)/ イベント(イに)/ ダメージ(ダに)
⭕ hoTEL(テ)/ eVENT(ヴェ)/ DAmage(ダ…これは合ってる。でも母音が違う)
英語ネイティブは単語を「音の並び」ではなく「アクセントのリズム」で認識しています。だからアクセント位置がズレると、個々の音が合っていても脳内の単語辞書にヒットしません。「ホテル」が通じない最大の原因は、hの音ではなくアクセントです。
つまり多少音が雑でも、アクセントさえ合っていれば通じる。逆転の発想。

矯正法:新しい単語を覚えるとき、意味より先に「どこを強く言うか」を確認して、強い場所で手を叩きながら発音します(hoTEL:ホ・テルパン!)。体でリズムを覚えると忘れません。特にカタカナ語と英語でアクセント位置が違う単語(coffee, image, patternなど)は要注意です。

第4位:母音を足しがち問題(ストレスト→stressto現象)

4
stressed を「ストレスト」(su-to-re-su-to)と5音節で言う
⭕ stressed は1音節。「ストゥレスト」ではなく一気に "strest"
日本語は「子音+母音」がワンセットの言語なので、日本人は子音の後に無意識に母音(ウやオ)を足します。and が「アンド(a-n-do)」、milk が「ミルク(mi-ru-ku)」。ネイティブには音節数が倍増した謎の長い単語に聞こえ、これが「単語は合ってるのに通じない」最大級の原因です。

矯正法:単語の最後の子音を「言い切らずに寸止め」する練習をします。milk の k は「クッ」と息だけで止める。good の d は舌を歯茎につけたまま終わる。「最後の母音を飲み込む」感覚がつかめると、英語の音が一気に引き締まります。

I had a good time.
楽しかったです。
「グッド・タイム」ではなく「グッ(d)タイム」。had の d、good の d を寸止めして言ってみてください。それだけで英語らしさが激変します。
スポンサーリンク

第3位:VとB

3
very を「ベリー」と言う → berry(果物のベリー)に聞こえる
⭕ V=下唇を軽く噛んで「ヴ」/ B=唇を閉じて破裂させる「ブ」
日本語に「ヴ」の音が事実上ないため、vote(投票)が boat(船)に、vest(ベスト)が best(最高)に化けます。"I want to vote" が "I want to boat"(船に乗りたい)になる事故、実際に起きています。

口の形:Vは上の前歯を下唇の内側に軽く当てて、その隙間から息を出しながら声を出します。「噛む」というより「触れる」程度でOK。Bは日本語の「バ行」と同じで、両唇を閉じてから破裂させます。鏡の前で "berry, very, berry, very" と交互に言い、唇の形が毎回切り替わっているかを目で確認するのが最速の練習です。

This view is very beautiful.
この眺め、すごくきれいですね。
view と very は下唇に歯、beautiful は唇を閉じて。1文の中でV→V→Bと切り替える練習文として優秀です。

第2位:thの音

2
think を「シンク」と言う → sink(沈む/流し台)に聞こえる
⭕ th=舌先を上下の前歯で軽く挟み、隙間から息を出す
"I think..."(私は思う)のつもりが "I sink..."(私は沈む)。毎回沈んでいく人になります。thank you が sank you になると「あなたを沈めました」。物騒すぎる。
日本人、会話のたびに沈没しすぎ問題。

口の形:舌の先を上下の前歯のあいだに軽く挟み(1〜2mm出す程度)、その隙間から「スー」と息を漏らします。これが think, thank の th(無声音)。同じ口の形で声帯を震わせると this, that の th(有声音)になります。ポイントは挟んだ舌を素早く引っ込めながら次の音に移ること。最初は大げさに舌を出してOK、慣れると最小の動きでできるようになります。

I think this is the best.
これが一番だと思います。
think(無声th)、this と the(有声th)が1文に同居。この文を鏡の前で毎日5回言うだけでthは矯正できます。

第1位:LとR

1
rice(米)とlice(シラミ)、election(選挙)とerection(勃起)が同じ音になる
⭕ L=舌先を上の歯茎につける / R=舌をどこにもつけずに引く
堂々の第1位。日本語のラ行はLとRの中間の音なので、日本人の耳と口はこの2つを区別する訓練を受けていません。レストランで "Lice, please."(シラミください)、ビジネスの場で選挙の話をしようとして放送事故——被害報告が後を絶ちません。
シラミを注文する日本人、世界中のレストランで今日も発生中。

口の形:覚え方はシンプルに「Lはつける、Rはつけない」。

Fried rice, please.
チャーハンをください。
friedのR(舌つけない)→riceのR(舌つけない)。「フ・ゥライドゥ・ゥライス」の気持ちで。これが言えたらシラミ注文卒業です。
I'd like to make a reservation.
予約をしたいのですが。
like のL(舌つける)と reservation のR(舌つけない)が両方入った実戦文。旅行前の練習に最適。
💡 7つの優先順位 全部を一度に直そうとすると挫折します。通じやすさへの効果が大きい順=第4位(余計な母音)と第5位(アクセント)から着手するのがおすすめ。この2つは「音の作り方」ではなく「リズム」の問題なので、数週間で改善し、しかもすべての単語に効きます。LやRは、その後にじっくりで大丈夫です。

「完璧な発音」を目指してはいけない理由

ここまで読んで「直すところが多すぎる…」と落ち込んだ人へ。大事なことを言います。完璧な発音は不要です。目指すべきは「通じる発音」であって「ネイティブと同じ発音」ではありません。

世界の英語話者の大多数は非ネイティブです。インドなまり、フランスなまり、中国なまり——みんな母語の音を引きずったまま、堂々と世界で仕事をしています。「日本なまりの英語」は恥ではなく、世界標準の姿です。

問題になるのは「なまり」ではなく「誤解」だけ。rice が lice になる、think が sink になる——別の単語に化けてしまう7つのポイントさえ直せば、残りのなまりは個性です。むしろ完璧主義で口数が減ることの方が、発音のクセより何倍も会話の敵になります。

⚠️ 発音沼に注意 発音教材を買い集めて口の形の研究ばかりして、実際の会話をしない「発音沼」にハマる人がいます。発音は会話の道具であって目的ではありません。この記事の7つ+シャドーイングで「通じるレベル」に達したら、あとは実際に使うフレーズを口に出す時間に投資しましょう。

シャドーイングで7つのクセを矯正する5ステップ

7つのクセを個別に理解したら、仕上げはシャドーイング(お手本の音声を影のように追いかけて発声する練習)です。個別の音の知識を「文の中で自然に出る状態」に変換できる、発音矯正の王道トレーニングです。ただし、いきなり音声に追いつこうとすると必ず挫折するので、次の5段階で進めてください。

ステップやること目安ここでのポイント
1. 聞く台本(スクリプト)を見ながら音声を3回聞く1〜2日「カタカナと違う音」に印をつける
2. 分析7つのクセが出そうな箇所をマークする1日L/R、th、消える母音、強く読む単語に色分け
3. 音読音声なしで、マークを意識してゆっくり音読2〜3日スピードは無視。口の形を正確に
4. 台本ありシャドーイング台本を見ながら音声に0.5秒遅れでかぶせる3〜4日ついていけない所=あなたの弱点リスト
5. 台本なしシャドーイング音声だけを頼りに影のように追いかける3〜4日自分の声を録音して、お手本と聞き比べる

素材選びのルールは2つ。①自分のレベルより「易しい」と感じるもの、②30秒〜1分の短いもの。長くて難しい素材は分析が雑になり、クセが直らないまま口の筋トレだけになります。同じ30秒を2週間やり込む方が、毎日違う素材を流すより10倍効きます。

💡 録音のすすめ ステップ5で必ず自分の声を録音してください。「自分ではRを言えてるつもりだった」が音声で客観的に暴かれます。恥ずかしいのは最初だけ。録音→聞き比べ→修正のループこそが、独学で発音を直せる唯一の仕組みです。スマホのボイスメモで十分です。

シャドーイングを組み込んだ1日の学習メニュー全体は、独学3ヶ月の勉強法の記事で紹介しています。発音とあわせて文法の土台も固めたい人は中学3年分でOKなやり直し英文法ロードマップもどうぞ。

スポンサーリンク

よくある質問

発音矯正はどのくらいで効果が出ますか?
毎日10分の練習で、「余計な母音を消す」「アクセント位置を直す」は2〜4週間で体感できるレベルに変わります。LとR、thの音は口の動きの習慣化に1〜3ヶ月が目安です。全部を一気にやらず、通じやすさへの影響が大きい母音とアクセントから直すのが近道です。
ネイティブみたいな発音にならないとダメですか?
不要です。世界の英語話者の大多数は非ネイティブで、みんな母語のなまりを持ったまま堂々と話しています。目標は「ネイティブ級」ではなく「誤解されない発音」。この記事の7つを直せば、なまりがあっても十分に通じる英語になります。
発音記号は覚えるべきですか?
全部覚える必要はありません。ただし自分が苦手な音(th=/θ/、R=/r/ など)の記号だけ覚えておくと、辞書で単語を引いたときに「この単語はあの口の形だ」と分かるので矯正が速くなります。7〜8個だけ、使いながら覚えるのがおすすめです。
大人になってからでも発音は直りますか?
直ります。発音は聴力の才能ではなく「口と舌の筋肉の動かし方」なので、スポーツのフォーム矯正と同じです。大人は理屈で口の形を理解できるぶん、むしろ矯正の効率は高いです。ただし省エネな旧フォームに戻りやすいので、毎日の短時間練習で上書きし続けることが大事です。
シャドーイングは初心者には難しくないですか?
いきなり音声に追いつこうとすると挫折します。この記事の5ステップ(台本を見ながら聞く→分析→音読→台本ありシャドーイング→台本なし)の順に進めれば初心者でも必ずできます。素材は自分のレベルより易しめ・30秒程度の短いものを選ぶのがコツです。
🗣 7つのうち、何個被弾していましたか?
3個以上当たった人は、今日の練習からriceをシラミじゃなくす番です。 ↓ 発音の前に、そもそもの英会話力も30秒で測っていきませんか? ↓
🎮 発音のついでに、英会話力も測ろう

発音を直す価値があるかは、土台の英会話力次第。10問の辛口診断で、あなたの現在地とやるべき順番がはっきりします。

30秒診断に挑戦する →