📖くわしく解説します
「キリン」を意味する英単語といえば giraffe ですが、19世紀までの英語ではむしろcamelopard(カメロパード)という呼び名のほうが一般的でした。語源をたどるとギリシャ語のkamēlopardalisにたどり着き、これはkamelos(ラクダ)とpardos(ヒョウ)を組み合わせた合成語です。ラテン語 camelopardus を経て14世紀の中英語に入り、「ラクダのように首と脚が長く、ヒョウのように体に斑点がある動物」という、見た目そのままの名づけがされていました。
一方の giraffe は、まったく別ルートで英語に入った外来語です。大もとはアラビア語のzarafaで、初期近代英語にはアラビア語から直接入ったとみられる jarraf や ziraph という綴りもありました。その後1590年代にイタリア語で giraffa という形が定着し、これがフランス語 girafe を経て、1600年ごろに現在の英語の綴り giraffe に落ち着きます。camelopard と giraffe は、この後およそ300年にわたって同じ動物を指す2つの単語として併用され続けました。
では zarafa 自体はどこから来たのか。これについては諸説あり、確定していません。キリンの生息地に近い東アフリカのソマリ語で「キリン」を意味する geri という語が取り入れられたとする説や、「速歩きする者」を意味するアラビア語の言葉に由来するとする説などが有力候補として挙げられていますが、いずれも決め手を欠いています。
camelopard の名残は、今も意外な場所に残っています。1590年代にフランドルの天文学者・地図製作者ペトルス・プランシウスが新しく設けた星座のひとつにきりん座(Camelopardalis)があり、この星座名は今もそのままです。さらに現在のキリンの学名Giraffa camelopardalisは、アラビア語由来の giraffa とギリシャ語由来の camelopardalis を1つの名前の中に両方とも残した形になっています。動物園で見るあの首の長い生き物には、まったく別々の歴史を持つ2つの名前が同居しているわけです。
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❓まとめ
Q. キリンの英語 giraffe、実は19世紀まで「ラクダ+ヒョウ」を意味する別の単語で呼ばれていた?
A. 本当です。当時の英語ではキリンをcamelopard(camel+leopard)と呼ぶのが普通でした。今の giraffe はアラビア語 zarafa 経由の外来語で、2つの名前は学名Giraffa camelopardalisに今も同居しています。