📖くわしく解説します
zombie の語源としてよく挙げられるのが、コンゴ盆地一帯で話されるキコンゴ語・キンブンドゥ語の nzambi(神)や nzumbi(呪物・霊)です。もとの意味は「歩き回る死体」ではなく、むしろ神性や、死者の魂そのものを指す言葉でした。今の「腐った死体が徘徊する」というイメージとはかなり距離があります。
この語がゾンビらしい意味を帯びたのは、奴隷として連れてこられたアフリカの人々の信仰がハイチのヴードゥー教に取り込まれ、zonbi(呪術で意志を奪われ働かされる死者)という概念が生まれたためです。それが1915年からのアメリカによるハイチ占領をきっかけに英語圏へ伝わり、1932年の映画『White Zombie』などのホラー作品を通じて「動く死体」の代名詞として定着しました。神を意味した言葉が、大西洋を渡り怪物の名前に姿を変えたわけです。
一方の banana は、西アフリカのセネガルやガンビアで話されるウォロフ語の banaana(バナナの房を指す語)に由来する説が最も有力です。15〜16世紀、西アフリカ沿岸で交易していたポルトガル人・スペイン人商人がこの語を採り入れ、船とともにヨーロッパへ運びました。英語の文献に初めて登場するのは1597年、植物学者ジョン・ジェラードの著書『The Herball』とされています。
神を指す言葉が怪物の名前になり、現地の呼び名がそのまま果物の名前になる——言葉の意味も国境も、交易と信仰の歴史の分だけ形を変えて英語に流れ込んでいます。zombie と banana はジャンルも響きもまるで違いますが、たどっていくと同じ西アフリカという場所に行き着く、意外な語源の兄弟なのです。
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❓まとめ
Q. zombie(ゾンビ)と banana(バナナ)。見た目も響きも似ていないこの2語、実はどちらも西アフリカ生まれだと知っていましたか?
A. zombie はコンゴ地方の言語で「神」「霊」を意味した語、banana はセネガル周辺のウォロフ語の語形が語源とされ、どちらも大西洋の交易ルートを通って英語に流れ着きました。