答えはい。schadenfreude も zeitgeist も doppelgänger も wanderlust も、19世紀にドイツ語から英語へそのまま取り込まれた単語です。これらの概念を一語で言い表す英語の単語が無かったため、ドイツ語の複合語をまるごと借用する、というかなり珍しい形で英語に定着しました。

📖くわしく解説します

英語には schadenfreude(人の不幸を喜ぶ気持ち)、zeitgeist(その時代特有の精神・雰囲気)、doppelgänger(生きている本人とそっくりの分身)、wanderlust(旅への強い衝動)という単語があります。どれも元はドイツ語で、同じ概念を1語で言い切れる英語の単語が存在しなかったために、ドイツ語をそのまま輸入する形で定着しました。英語の語彙の大半をフランス語とラテン語からの借用語が占めるなかで、ドイツ語からの借用は数こそ少ないものの、こうした「ちょうどいい言葉が英語に無い」概念を埋める役目を担っています。

最も有名な schadenfreude の英語での使用例は、言語学者リチャード・チェネヴィクス・トレンチが1852年に出した著書 "On the Study of Words" にさかのぼるとされています。トレンチはこの中で、「他人の不幸を喜ぶ」という概念を一語で表す言葉が英語に存在しないことを嘆き、ドイツ語の schadenfreude(schaden=害、freude=喜び)を例として取り上げました。英語の文章の中にふつうの単語として定着していったのは1890年代以降とされています。

zeitgeist(zeit=時、geist=精神・霊)の英語での使用は、詩人マシュー・アーノルドが1848年に使った例が Oxford English Dictionary に記録されているとされています。doppelgänger(doppel=二重の、gänger=歩く者)も同じ19世紀のうちに英語へ入り、もともとは「生きている人間とそっくりの、幽霊のような分身」を指す、かなり不気味な超常現象の言葉として使われ始めました。ドイツ語は無関係な単語を2つ並べてそのまま新しい名詞を作れる言語で、これらの借用語がどれも複合語になっているのは、このドイツ語の作法を丸ごと英語に持ち込んだ結果だと説明されています。

面白いのは、schadenfreude に対応する英語本来の単語が実在することです。古代ギリシャ語に由来する epicaricacy という単語が辞書には載っているものの、使用例は非常にまれで、ほとんど話者に知られていません。概念に対応する単語が辞書にあっても、使われなければ定着しない——結局、ドイツ語の schadenfreude のほうが「ちょうどいい一言」として生き残ったわけです。英語の文章では今もドイツ語の名詞の習慣にならってSchadenfreudeと大文字で書かれることがありますが、使われるほど口語的な単語として定着し、小文字表記も広がっています。

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I have to admit I felt a bit of schadenfreude when my rival's project fell apart.
ライバルの企画がダメになったとき、少し意地悪な喜びを感じてしまったのは認めざるを得ない。

🏷 schadenfreude zeitgeist doppelganger wanderlust ドイツ語 外来語 gairai

❓まとめ

Q. schadenfreude(人の不幸を喜ぶ気持ち)も zeitgeist(時代精神)も、英語にちょうどいい一言が無かったのでドイツ語をそのまま輸入した単語だった、というのは本当でしょうか?

A. はい。schadenfreude も zeitgeist も doppelgänger も wanderlust も、19世紀にドイツ語から英語へそのまま取り込まれた単語です。これらの概念を一語で言い表す英語の単語が無かったため、ドイツ語の複合語をまるごと借用する、というかなり珍しい形で英語に定着しました。

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