📖くわしく解説します
"They paddled the canoe across the lake."(彼らは湖をカヌーで漕いで渡った)のように使う canoe。もとは丸太をくり抜いて作った小舟を指す言葉で、今ではスポーツ用の軽いボートまで幅広く canoe と呼ばれています。
この単語の記録をたどると、驚くほど早い時期にたどり着きます。語源辞典Etymonlineによれば、カリブ海一帯で話されていたタイノ語の言葉をコロンブスが1492年10月26日の航海日誌に "canoa" として書き留めたのが最初の記録です。タイノ語はアラワク語族に属し、Wiktionaryはこの語の祖先として祖語アラワク語の "*kanawa"(くり抜き舟)を再構しています。この canoa がスペイン語に取り込まれ、英語には1550年代に入ってきました。英語での綴りは18世紀に今の canoe に落ち着くまで、cano・canow・canoa などさまざまな形で揺れていたそうです。
新大陸の言葉がヨーロッパの言語に入った最初期の例としては、同じく1492年にコロンブスが記録し、英語には同じ1550年代に入ったとされる maize(トウモロコシ)もよく並べて語られます。どちらが本当に「最初の一語」だったかは資料によって踏み込み方が違い、断定はできません。ただ、コロンブス到着からわずか数十年のうちに、カリブ海の言葉がヨーロッパの日常語に溶け込み始めていたことは確かなようです。ちなみに、タイノ語が由来とされる単語には hammock(ハンモック)や tobacco(タバコ)もあり、barbecue(バーベキュー)も同じカリブ海地域の言葉がルーツという説がこの連載の別の回で紹介した通りです。
canoe という単語は、比喩表現としても英語に根を下ろしています。"paddle your own canoe"(自分のカヌーは自分で漕ぐ)は、人に頼らず自力でやっていくという意味のアメリカ発の言い回しで、Etymonlineは1828年の用例を記録として挙げています。小さな丸木舟を指していた言葉が、500年近くかけて「自立」を語るイディオムにまで育ったわけです。
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❓まとめ
Q. canoe(カヌー)という単語、実はコロンブスが1492年の航海日誌に書き残した、新大陸からヨーロッパの言語へ渡った最古級の単語のひとつだと知っていましたか?
A. はい。canoe はカリブ海のタイノ語(アラワク語族の一つ)に由来し、コロンブスが1492年10月26日の航海日誌に "canoa" と書き留めたのが最初の記録とされています。そこからスペイン語を経て、英語には1550年代に入りました。