答えjuggernaut は、インド東部で祀られるヒンドゥー教の神ジャガンナート(「世界の主」)の名前が由来です。神を乗せた巨大な山車の行列を見た欧米人の記録から英語に入り、「山車が信者を轢き殺す」という誇張された逸話とともに「止められない破壊的な力」という比喩として定着しました。

📖くわしく解説します

juggernaut(ジャガーノート)は、現代の英語ニュースでは「止めようのない巨大な力」を指す比喩として使われます。巨大IT企業を a tech juggernaut、圧勝中のスポーツチームを an unstoppable juggernaut と呼ぶように、暴走する大型トラックから政治的な大きな潮流まで、押しても引いても止まらない勢いを表す定番の単語です。

この単語、もとはインドの神の名前です。ヒンディー語の Jagannath はサンスクリット語の jagat(世界)と natha(主)が合わさった「世界の主」という意味で、インド東部オリッサ州プリーで祀られているヒンドゥー教の神(ヴィシュヌ神/クリシュナの化身とされる)の名です。この神を祀る祭礼ラタ・ヤートラでは、巨大な木製の山車に神像を乗せて町を引き歩く行列が行われ、17世紀ごろにこの山車がヨーロッパの旅行者の記録に登場し、18世紀には英語で Juggernaut と表記されるようになりました。

ただし、英語に定着した「巨大な山車が信者を轢き殺す」という血なまぐさいイメージには注意が必要です。植民地時代の欧米の旅行記や宣教師の記録は、この祭礼を狂信的で野蛮な儀式として誇張して伝える傾向があり、山車に身を投げる信者の話もその一部です。現代の研究者の多くは、この「轢死」の物語は実際の祭礼の様子よりも当時の欧米側の想像や偏見が作り上げた側面が大きいと指摘しており、史実としての裏付けは薄いとされています。

それでも、この誇張されたイメージのほうが英語には強く残りました。19世紀半ばには、サッカレーが1854年の作品で使うなど、「何者にも止められない破壊的な力」という比喩的な意味で juggernaut が定着します。もはやヒンドゥー教の祭礼そのものとはほぼ無関係な、英語独自の比喩として独立してしまった単語だといえます。

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The new streaming service quickly became a juggernaut in the entertainment industry.
その新しい動画配信サービスは、たちまち娯楽業界の巨大な勢力になった。

🏷 juggernaut Jagannath gairai 外来語 Hindi Sanskrit Rath Yatra colonial myth

❓まとめ

Q. 暴走する巨大IT企業や圧勝続きのチームを "a juggernaut" と呼びますが、この単語、もとはインドのある神様の名前だったと知っていましたか?

A. juggernaut は、インド東部で祀られるヒンドゥー教の神ジャガンナート(「世界の主」)の名前が由来です。神を乗せた巨大な山車の行列を見た欧米人の記録から英語に入り、「山車が信者を轢き殺す」という誇張された逸話とともに「止められない破壊的な力」という比喩として定着しました。

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