📖くわしく解説します
"schedule" は、アメリカ英語では skedule(スケジュール)、イギリス英語では shedule(シェジュール)と発音され、同じ綴りなのに最初の音がまるで違います。日本語の外来語「スケジュール」はこのうちアメリカ式の発音を取り込んだものなので、日本の学校で英語を習った人が初めてイギリス人の "shedule" を聞くと、別の単語かと戸惑うことも珍しくありません。
この割れ方には、単語がたどった綴りと発音のズレの歴史が関係しています。schedule はもともと15世紀に古フランス語 cedule(証書・目録の意)から英語に入り、当初の綴りは cedule や sedule で、発音も「セジュール」に近いものでした。ところが16世紀になると、語源であるラテン語 schedula(ギリシャ語の「紙片」を意味する語に由来)に綴りを似せる形で schedule という書き方が定着していきます。ここが肝心な点で、綴りだけが先に変わり、発音は18世紀ごろまで元の「シ」に近い音のまま取り残されました。
この「見た目はスコットランドの scheme(スキーム)のような sch- なのに、読み方だけ昔のまま」という食い違いに、アメリカで正面から手を入れたのが辞書編纂者ノア・ウェブスターです。彼は1828年の著書『An American Dictionary of the English Language』で、schedule も scheme や school と同じ sch- グループなのだから sk と読むべきだと主張しました。ウェブスターの辞書はアメリカで絶大な影響力を持っていたため、この「綴り通りに読み直す」発音がそのままアメリカの標準になりました。一方イギリスでは、そうした綴り読みの矯正は起こらず、フランス語由来の古い発音がそのまま残ります。
興味深いのは、この差が今も動いていることです。ある調査では、26歳未満のイギリス人の3分の2が "skedule" と発音する一方、65歳以上では92%が今も "shedule" と発音するという結果が報告されており、アメリカ式の発音が世代を追ってイギリスにも広がりつつあります。1つの単語の中に、中世フランス語の名残と19世紀アメリカの辞書改革という2つの時代の痕跡が同居している、というわけです。
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❓まとめ
Q. 同じ「schedule」なのに、なぜイギリスは「シェジュール」、アメリカは「スケジュール」と読み方が割れているのか?
A. もとはフランス語由来の「シ」に近い発音が英米で共有されていたのに、19世紀のアメリカで辞書編纂者が「綴り通りに読み直す」判断を下し、そこだけアメリカ式が定着したためです。