📖くわしく解説します
could は、古英語で「〜できる」を意味した cunnan の過去形 cuðe にさかのぼります。中英語期にはこれが coude や couthe と綴られていて、can の仲間として発展してきた単語です。will や shall とは系統がまったく違うため、この時点の could に l という文字は一度も含まれていません。
一方 would と should には、最初から l がありました。will の過去形は wolde、shall の過去形は sceolde で、中英語期にはこの l は実際に発音されていたのです。その後、half や walk、talk などと同じように l の音が落ちる変化(l-vocalization)が起こり、発音からは l が消えました。ただし綴りの方は改められず、歴史的な名残としてそのまま残ったのが would・should の l です。
では could の l はどこから来たのか。語源辞典 Etymonline によれば、15〜16世紀、印刷の普及とともに英語の綴りが固まっていく過程で、can-could、will-would、shall-should という3組の法助動詞を見た目で揃えるため、本来 l を持たない could にも unetymological(語源的に根拠のない)l が挿入されたとされています。つまり could の l は、発音の手がかりでも歴史の名残でもなく、「仲間はずれにしないための飾り」として後から足された文字なのです。
同じ「無音の l」でも、would・should の l は「かつては発音されていたが消えた」文字、could の l は「最初から一度も発音されたことがない」文字という、まったく違う生い立ちを持っています。英語の綴りには、発音の歴史を映す文字だけでなく、見た目の統一感のためだけに付け足された文字もある——could の l は、その代表例と言えます。
🔊この話に出てきた英語を使ってみる
音声ボタンを押すと、ネイティブ発音で読み上げます。
❓まとめ
Q. could・would・should、どれもlを書くのに発音しません。でもこの3つ、l との付き合い方がまったく違うと知っていましたか?
A. would と should の l は、will・shall の過去形に由来する正真正銘の文字で、発音自体が後から消えただけです。ところが could の l は最初から存在せず、発音されたことも一度もありません。15〜16世紀に、見た目を would・should に揃えるためだけに後付けで挿入された、純粋な飾り文字なのです。