📖くわしく解説します
RECord(名詞:記録)と reCORD(動詞:記録する)。英語には、綴りがまったく同じなのに、名詞として使うときは前の音節に、動詞として使うときは後ろの音節にアクセントが置かれる単語が150組近くあります。present、object、produce、desert、contract、permit、project、protest、subject...どれも日常会話でよく使う単語ばかりです。
この現象は言語学ではdiatonic stress shift(名詞・動詞のアクセント交替)と呼ばれています。歴史英語学者 Hotta Ryuichi の研究によれば、こうした単語のペアは16世紀後半に初めて記録が現れ、それ以降じわじわと数を増やしてきました。ある調査で対象になった157組のペアは、そのほぼ全てがフランス語・ラテン語から英語に入った単語(ロマンス語系借用語)だったことが分かっています。
なぜロマンス語系の単語ばかりにこの交替が起きるのか。有力な説明は、英語の名詞がもともとゲルマン語系の規則(語根の最初の音節にアクセントを置く)に従おうとする一方、動詞のほうはフランス語・ラテン語由来の最終音節アクセントを保ちやすかった、という綱引きです。ただし研究者の間では、接頭辞の影響説と使用頻度の影響説のどちらが主因かで意見が分かれており、語末の子音の種類が関わっているという指摘もあります。原因の特定は諸説あり、まだ決着していません。
この交替は今も進行中です。address(アドレス/住所を記す)は、名詞でも前後どちらにアクセントを置くか話者によって揺れており、contrast のような語では動詞のアクセントまで前寄りに動きつつあると報告されています。つまり "RECord a REcord"(記録を記録する)のような言い方は、決まり切ったルールではなく、英語が今も変化し続けている最中の姿そのものなのです。
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❓まとめ
Q. RECord(名詞)と reCORD(動詞)。綴りは同じ6文字なのに、名詞と動詞でアクセントの位置が変わる英単語が150組近くあると知っていましたか?
A. はい。record、present、object、produce、desert のように、名詞では前の音節に、動詞では後ろの音節にアクセントが来る語が英語には150組前後あります。これは16世紀後半から増え続けてきた体系的なパターンで、言語学では diatonic stress shift(名詞・動詞のアクセント交替)と呼ばれています。