当サイトでは以前、英検ライティング採点AIを自分で作って運用していました。そこで分かったのは、AIには得意なことと、はっきり苦手なことがあるということです。使い方だけ紹介して弱点を書かない記事は、読む人に損をさせます。

弱点①:何もしないと褒めすぎる

これが最大の問題です。AIに英作文を見せると、たいてい「よく書けています」から始まります。そして小さな修正をいくつか挙げて終わる。

試験の採点としては、これは危険です。実際には合格ラインに届いていない答案でも、「概ね良いですね」と言われてしまうからです。

作ってみて分かったこと当サイトの採点AIでは、プロンプトに「減点する条件」を具体的に書き並べています。たとえば要約モードなら「原文から5語以上連続で写している箇所は必ず列挙し、語彙点を大きく減点する」。ここまで具体的に指定して、ようやく現実的な点数になります。「厳しく採点して」と頼むだけでは足りません。

自分でAIに添削させるときも同じです。何を減点対象とするかを、こちらから列挙してください。

次の観点で厳しく採点してください。
・課題からずれていないか(ずれていれば内容点を大きく下げる)
・同じ構文の繰り返しがないか(あれば文法点を下げる)
・指定語数から外れていないか
・良い点は書かなくていいので、直すべき点だけ挙げてください
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弱点②:文法の「解説」は作り話が混ざる

AIが出す英文自体は、おおむね自然で正確です。問題は「なぜそうなるのか」の説明のほうです。

もっともらしい理屈が返ってきますが、それが事実かどうかは別問題です。特に語源・歴史的経緯・「ネイティブはこう感じる」といった説明は、確かめようがないぶん、作り話が混ざりやすい。

見分け方断定的で、具体的で、出来すぎている説明ほど疑う。
これは語源の俗説を見分けるコツとまったく同じです。「実は◯◯の頭文字だった」式の説明が世の中に溢れているのと、AIが作り話をする仕組みは似ています。もっともらしさは、正しさの証拠になりません。

実務的な対処は簡単です。使える英文はもらう。理屈は鵜呑みにしない。文法の体系的な理解は、AIではなく教材で入れてください。

弱点③:発音の判定は当てにならない

音声で話しかけると「発音がいいですね」と返ってくることがあります。しかしこれは真に受けないでください

発音はどうすればいいか自分の声を録音して、お手本と聞き比べるのが確実です。違いは自分の耳で分かります。日本人がつまずく音は決まっているので、発音矯正・7つの音でどこを直すべきかを先に知っておくと効率的です。

弱点④:あなたのレベルを知らない

AIは、あなたが何を知っていて何を知らないかを把握していません。だから指定しないと難しすぎる英語を返します

そして厄介なことに、会話が進むうちにレベル指定を忘れていきます。最初は中学英語で話していたのに、10往復すると難しい語が混ざり始める。

自分のレベルを数字で言えない場合は、語彙力テストで3分測っておくと、AIへの指示が一気に正確になります。

結局、AIに任せていいこと・悪いこと

任せてよい任せないほうがよい
会話量をこなす練習通じるかどうかの検証
英作文言い換えの案出し・自分の癖の診断試験の点数判定(甘くなる)
文法例文を大量に出させる「なぜそうなるか」の解説
発音お手本の音を出させる自分の発音の判定
単語例文作り・語源の候補出し語源の断定(俗説が混ざる)
一言でまとめるとAIは「量を出す」のが得意で、「評価する」のが苦手です。例文を100個作らせるのは大得意。あなたの答案が何点かを判定するのは苦手。この線引きを持っておけば、AIは非常に強力な道具になります。

だから自作した採点AIでは、評価の部分に減点条件を細かく指定したプロンプトを組み込んでいました。汎用のチャットに「採点して」と頼むのとは、出てくる点数がまったく違います。裏を返せば、減点条件を自分で書いて渡せば、汎用のチャットでも精度は上がるということです。

よくある質問

Q. AIに英作文を採点させたら高得点でした。信じていいですか?

A. そのままでは信じないほうが安全です。AIは何も指定しないと甘く評価する傾向があります。減点条件を具体的に列挙して、採点し直させてください。「語数不足は減点」「同じ接続語の繰り返しは減点」「理由が具体例になっていない場合は減点」のように条件を先に渡すだけで、点数は目に見えて辛くなります。

Q. AIの文法解説は信用できますか?

A. 英文そのものはおおむね正確ですが、解説には誤りが混ざります。特に語源や「ネイティブの感覚」に関する説明は、もっともらしい作り話になっていることがあります。使える英文はもらい、理屈は教材で確認するのが安全です。

Q. AIに発音を判定してもらえますか?

A. おすすめしません。音声認識は文脈から単語を補正するため、「認識された = 発音が正しい」ではありません。自分の声を録音してお手本と聞き比べるほうが確実です。

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