dub を「ダビング(録音の複製)」でしか知らないと、今朝のNASAの見出しは意味が通りません。ここでの dub に、テープもコピー機も出てきません。
英語の dub は、中世に王が剣で騎士の肩を軽く叩いて「〇〇卿」と名を授けた儀式に由来する動詞で、意味は「~と名づける、~と呼ぶ」。NASAが延命作戦を dub したのは、「Big Bang」というあだ名でした。今朝の英語ニュース3本から、こういう「知らないと読み違える語」を6つ拾います。
🛰 ニュース1:NASAが Voyager 2 を「Big Bang」作戦で延命
1977年に打ち上げられ、地球から約210億キロも離れた星間空間を今も飛んでいるボイジャー2号。年々細っていく原子力電池の出力に対応するため、NASAのジェット推進研究所のチームは、電力を食う一部の温度制御ハードウェアを切り、より低消費電力の代替系に切り替える大胆な処置を実施しました。この作戦のあだ名が「Big Bang」。今回のやりくりで、残る3つの科学観測機器を少なくとも1年ぶん長く動かせる見通しになりました。
今日の一語:dub(動詞)
「〜と名づける、〜と呼ぶ」。プロジェクト、作戦、あだ名などに使うと自然です。call でも通じますが、dub のほうが「名前を正式にくっつけた」響きがあり、報道記事の1文目に頻出します。日本語の「ダビング(録音複製)」は同じ綴りの別語源で、意味が違うので混ぜないこと。
今日の一語:buy(動詞)
「買う」は序の口で、ニュース英語では「(時間や余裕を)手に入れる、稼ぐ」の意味でも大定番です。今回の記事では "NASA buys Voyager 2 at least a year of extra life"(NASAが Voyager 2 に少なくとも1年ぶんの余分な寿命を稼ぎ出す)と表現されました。buy time(時間を稼ぐ)は日常会話でもそのまま使えます。
☄️ ニュース2:ペルセウス座流星群が明日ピーク、新月と重なる好条件
三大流星群のひとつペルセウス座流星群が、明日8月12日の夜から13日未明にかけてピークを迎えます。今年は新月と重なるため月明かりに邪魔されず、暗い場所では1時間に50〜75個もの流れ星が見られる見通し。しかも同じ12日には北半球で皆既日食も起きるため、「太陽と流星のダブルショー」という21世紀に初めての巡り合わせになります。深夜過ぎから夜明け前が最も見えやすい時間帯です。
今日の一語:peak(動詞)
名詞の「山頂・頂点」で覚えている人が多い語ですが、動詞では「ピークに達する、絶頂を迎える」の意味で頻出します。流星群、感染者数、株価、需要、キャリア——数値や現象が最大値に達する場面で万能に使えます。peak at 〜(〜の値でピークを迎える)の形も覚えておくと便利。
今日の一語:shower(名詞・動詞)
「シャワー、にわか雨」だけで覚えると損をする語です。天文の世界ではmeteor shower = 流星群。動詞では「(贈り物・称賛などを)大量に浴びせる」という比喩表現でも頻出し、shower ~ with praise(称賛を浴びせる)や shower ~ with gifts(プレゼント攻めにする)が定番です。ネイティブが本当に使う英会話フレーズにも登場する広い語彙です。
💎 ニュース3:ダイヤモンド量子コンピュータ、コンセントに差せて常温稼働
ドイツのスタートアップSAXON Qが、絶対零度近くまで冷やす特別な冷凍設備が要らず、常温で動く量子コンピュータを市販開始しました。中身は、人工ダイヤモンドに人為的に作った「欠陥(NVセンター)」を量子ビットとして使う仕組み。128量子ビット機はサーバーラックに収まり、家庭用と同じ電源プラグで動きます。「量子コンピュータは巨大な冷凍庫が必須」という常識が、静かに崩れ始めました。
今日の一語:plug into(句動詞)
まず思い浮かぶのは「コンセントに差し込む」ですが、比喩に広げると「~に組み込む、~にアクセスできる状態にする」の意味で頻出します。plug into the system(そのシステムに組み込む)、plug into a network(ネットワークにつなぐ)、plug into consumer trends(消費者トレンドに乗る)——ビジネスでもこのまま使えます。
今日の一語:flawed(形容詞)
普通は「欠陥のある、不完全な」というマイナスの意味ですが、今回の量子コンピュータはflawed lab-made diamonds(人工的に欠陥を作ったダイヤモンド)を主役の材料に使っています。「欠陥」こそが機能の源という逆転の発想が、この見出しを面白くしている理由です。日常では flawed logic(穴のある論理)、flawed plan(粗のある計画)のように使います。
📐 今朝の「見出し英語」講座:主語のすぐ後ろの to 〜 は、未来の合図
今朝のニュース2の見出しをもう一度見てください。Perseid meteor shower to peak on August 12–13。この to peak を「ピークになるための」と訳すと、日本語が意味不明になります。
ニュース見出しの to は、will や be going to の代わりに使う「予定」のサインです。文字数を節約するために will を消し、to不定詞だけで未来を表す新聞独特の書き方。日本語の「~する予定 / ~することになった / ~見通し」に相当します。
読み方のコツは、主語のすぐ後ろの to 〜 は「will 〜」と読み替えること。同じ形は、企業の新戦略、政府の政策発表、ロケット打ち上げ、スポーツ選手の移籍——毎朝の英語ニュースで大量に登場します。
| 見出しの to を含む一節 | ほんとうの意味 |
|---|---|
| Perseid meteor shower to peak on August 12–13 | ペルセウス座流星群が8月12〜13日にピークを迎える予定 |
| Japan to launch H3 rocket next week | 日本が来週H3ロケットを打ち上げる予定 |
| Toyota to open new plant in Mexico | トヨタがメキシコに新工場を開く見通し |
| She stopped to peak at the summit. | 彼女は頂上で立ち止まって景色を見た(=文中のtoは通常の不定詞) |
いちばん下だけは文中の「~するために」の to で、残り3つは見出し独特の「~する予定」の to です。慣れるまでは「主語のすぐ後ろに to があったら未来」と、位置で判別するのが早道です。時制の話は先日の「現在形は、たいてい終わったこと」と、昨夜の as は「~する中で」の記事と3点セットで復習すると、見出しがぐっと読めるようになります。文法をゼロから見直したい人にはやり直し英文法もおすすめです。
❓ よくある質問
ニュース英語の dub が「ダビング」ではなく「名づける」の意味で使われるのは、なぜですか?
英語の dub は、もともと中世に王が剣で肩を軽く叩いて「〇〇卿」と名前を授けた儀式(dubbing)から来ている動詞で、「~と名づける、~と呼ぶ」が本来の意味です。音楽・映像の「ダビング(複製する)」は別語源の別の意味で、日本ではそちらだけが有名になりました。ニュースでは NASA dubbed the operation the 'Big Bang'(NASAはその作戦を『Big Bang』と名づけた)のように、正式名称ではないあだ名を紹介するときに定番の動詞です。
ニュース見出しの to は「to不定詞」ですが、なぜ未来の意味になるのですか?
見出しの to は will や be going to の代わりに使う省略形で、「~する予定だ、~することになっている」を1文字ぶんの to で表す新聞独特の書き方です。Perseids to peak on August 12(ペルセウス座流星群が8月12日にピークを迎える)、Japan to launch H3 rocket(日本がH3ロケットを打ち上げる予定)のように、日程・予定・計画を短く伝えたい見出しで大量に登場します。文の途中の to不定詞と同じ形ですが、見出しでは主語の直後に置かれるので、未来のサインだと判別できます。
buy と plug into は、日常会話でもニュースと同じ意味で使えますか?
はい、そのまま使えます。buy は本来「買う」ですが、buy time / buy a year(時間を稼ぐ / 1年ぶんの余裕を作る)のように、物を買う以外の「手に入れる、稼ぐ」の意味でも頻出します。plug into は「コンセントに差し込む」からの派生で、「~に組み込む、~に接続する」と広く使えます。plug into the system(そのシステムに組み込む)、plug into a network(ネットワークにつなぐ)など、ビジネス英語でもよく登場する句動詞です。
- dub(動詞)= 〜と名づける、あだ名を授ける
- buy(動詞)= 時間や余裕を稼ぎ出す(buy time)
- 主語直後の to 〜 は will の代わり。未来の合図
今朝の6語を、今日1回ずつ声に出して使ってみてください。それだけで、身につく速度が段違いです。仕事で使う「型」を増やしたい人はそのまま使えるビジネス英語フレーズ集、日常の言い回しを増やしたい人はネイティブが本当に使う英会話フレーズ100選が土台になります。海外旅行の英会話50もあわせてどうぞ。
読めるようになったら、次は話す番です。