NASAの発表にあった見出し Fuel Savings Double Potential Lifetime を読めますか。Savings・Double・Lifetimeと、名詞っぽい単語ばかりが並んでいるように見えますが、この文の動詞は実はDoubleです。
doubleを「ダブルの、2倍の」という形容詞だと思っていると、この見出しは永遠にただの名詞の羅列にしか見えません。
今朝はこの「隠れた動詞」の見つけ方に加えて、SpaceXの節目のニュースに出てきたhits、話題の映画の見出しに仕込まれたconjuresの3語を、見出し3本と一緒に深掘りします。
🗞 ニュース1:NASAの宇宙望遠鏡、燃料の節約で運用期間が2倍以上に
Fuel Savings Double Potential Lifetime for NASA's Roman Mission
読めますか?Doubleは「ダブルサイズ」のダブルではありません。
NASAは9月14日、2027年打ち上げ予定の「ナンシー・グレース・ローマン宇宙望遠鏡」について、最初の軌道修正がきわめて高精度だったと発表しました。用意していた燃料のうち実際に使ったのは1割未満で、この節約により、望遠鏡の運用可能期間はもともと想定していた10年から、少なくとも22年へと2倍以上に延びる見込みです。
今日の一語:Double(動詞) 見出しを読むと、Fuel Savings(燃料の節約)、Double、Potential Lifetime(潜在的な運用期間)という3つの単語のかたまりが、すべて名詞に見えてしまいます。ですが実際は、主語がFuel Savings、動詞がDouble、目的語がPotential Lifetimeという、れっきとしたSVOの文です。doubleはダブルベッドやトランプの「2倍の、対になった」という形容詞・名詞のイメージが強い単語ですが、動詞になると「〜を2倍にする」という意味になります。見出しで名詞らしき単語が3つ以上並んでいたら、まん中あたりの単語が実は動詞ではないかと疑ってみてください。
🗞 ニュース2:SpaceXのファルコンロケット、通算700回目の打ち上げに到達
SpaceX Hits 700th Falcon Launch Milestone with Final SES O3b mPOWER Satellites
読めますか?hitsは「殴る」ではありません。
SpaceXは9月13日、フロリダ州ケープカナベラルからファルコン9ロケットを打ち上げ、通信会社SESの衛星コンステレーション「O3b mPOWER」向けの最後の3基を軌道に投入しました。これでファルコン1・ファルコン9・ファルコンヘビーを合わせた打ち上げ回数は通算700回に到達。2006年のファルコン1初打ち上げから20年かけて積み上げてきた記録です。今回使った1段目ロケットは、これが29回目の飛行でした。
今日の一語:hit(動詞) hitは「殴る、ぶつかる」という物理的な意味が有名ですが、ニュース英語では「(目標の数字や節目に)到達する」という意味で非常によく使われます。hit a milestone(節目に到達する)、hit a record(記録に到達する)のように、数字や記録が話題になったときのhitは「たたく」ではなく「到達する」と読み替えてください。
🗞 ニュース3:魔女映画の続編が全米No.1デビュー、見出しに仕込まれた言葉遊び
'Practical Magic 2' conjures a No. 1 box-office debut with $30 million
読めますか?conjuresがこの見出しに選ばれた理由、分かりますか。
9月11日から13日の週末、映画「プラクティカル・マジック2」が全米興行収入ランキングで1位デビューを果たし、それまで1位が続いていた「スパイダーマン:ブランニュー・デイ」の記録を止めました。オープニング興行収入は約3,000万ドル。1998年公開の前作から続く魔女姉妹の物語の続編で、サンドラ・ブロックとニコール・キッドマンが主演を務めています。
今日の一語:conjure(動詞) conjureはもともと「呪文を唱えて魔法で何かを呼び出す」という意味の動詞です。この映画の主人公が魔女なので、記者はわざと「魔法のように1位デビューを呼び出した」というダジャレを見出しに仕込みました。ビジネスニュースでも conjure up a plan(計画をひねり出す)のように、「まるで魔法のように何かを作り出す」という比喩表現として使われます。
📐 今朝の「見出し英語」講座:名詞が3つ以上並んだら、動詞を探す
ニュース1の見出し Fuel Savings Double Potential Lifetime のように、英語の見出しには名詞っぽい単語が数珠つなぎに並ぶことがよくあります。厄介なのは、その中に動詞が紛れ込んでいる場合があることです。冠詞もbe動詞もない見出しでは、単語の並びだけで主語・動詞・目的語を見分けなければなりません。
見分け方のコツは、意味が通る位置に「動詞になれる単語」を探すこと。doubleのように名詞にも動詞にもなれる単語は特に紛らわしいですが、主語らしき名詞のかたまりのすぐあとに来ていれば、それは動詞だと判断できます。ただし、見出しの中には本当に動詞を含まない、純粋な名詞の連鎖もあります。
| 見出しの単語の並び | 普通の文で言うと |
|---|---|
| Fuel Savings Double Potential Lifetime | Fuel savings double the potential lifetime.(動詞あり) |
| SpaceX Hits Falcon Launch Milestone | SpaceX hits a milestone in Falcon launches.(Falcon Launch Milestoneは名詞の連鎖) |
| Government Spending Cut Plan | A plan to cut government spending(動詞なしの純粋な名詞の連鎖) |
1行目はdoubleという動詞が主語と目的語の間に挟まっている文です。2〜3行目のFalcon Launch MilestoneやGovernment Spending Cut Planは、名詞だけが連なっていて動詞を含みません。同じ「名詞が並んでいる」ように見えても、動詞があるかないかで読み方はまったく変わります。
ビジネスニュースの語彙をもっと増やしたい人はビジネス英語60、見出しで単語が省略される仕組みはやり直し英文法でも基礎から確認できます。今日のような英語の小ネタは英語の雑学・豆知識にも毎日たまっています。
❓ よくある質問
Q. NASAの見出しのDoubleがなぜ動詞だと分かるのですか?
A. 見出し Fuel Savings Double Potential Lifetime は、Fuel Savings(主語のかたまり)、Double、Potential Lifetime(目的語のかたまり)という3つのグループに分かれます。doubleは名詞・形容詞・動詞のどれにもなれる単語ですが、主語らしき名詞のすぐあとに置かれているため、ここでは「〜を2倍にする」という動詞だと判断できます。
Q. 映画の見出しでconjureが使われたのはなぜですか?
A. 『プラクティカル・マジック2』は魔女が主人公の映画のため、ニュースの見出しは「呪文で何かを呼び出す」という意味を持つconjureをあえて選び、「魔法のように1位デビューを呼び出した」という言葉遊びを仕込みました。conjure up a plan(計画をひねり出す)のように、ビジネスニュースでも比喩表現として使われます。
Q. 見出しで名詞が3つ以上並んでいたら、どう読めばいいですか?
A. まずは意味が通る位置に動詞を探します。冠詞やbe動詞が省略されていても、動詞1語だけはどこかに必ず残っています。ただしGovernment Spending Cut Planのように動詞が存在しない純粋な名詞の連鎖もあるため、前後の文脈から「主語+動詞+目的語」に分けられるかどうかを確認してください。
⚡ 今日の3秒まとめ
名詞が並んで見えても、動詞は必ずどこかに隠れています。