廊下でばったり会った同僚と、まずは近況報告。ひとしきり世間話をしたところで、相手がふと表情を変えてこう切り出します。
直訳すると「私が忘れる前に」。ここで日本人学習者が引っかかるのが文法です。「これから忘れるかもしれない」という未来の話なのに、なぜ will を使って "Before I'll forget," と言わないの?と疑問に思った人も多いはず。実はこれ、学校で習ったはずの文法ルールが隠れている、ちょっとした盲点なんです。
意味と使いどころ
"Before I forget," は、話したかったことをふと思い出して、それを切り出すときの決まり文句です。「あ、そうだ」「忘れないうちに言っておくと」に近いニュアンスで、本題そのものではなく、本題への導入として使います。
- 世間話の途中で、本来伝えたかった用件を思い出したときに
- 電話や会話を終える直前、言い忘れに気づいたときに
- 偶然会った相手に、前から伝えたかったことをふいに思い出したときに
会話で見てみよう
▼ 廊下で久しぶりに会った同僚と
▼ 電話を切ろうとしたタイミングで
似ている表現との違い
| 表現 | ニュアンス | 場面 |
|---|---|---|
| Before I forget, | 忘れないうちに言っておく(最も自然・万能) | 会話中どのタイミングでも |
| By the way, | ちなみに、話題を変える | 新しい話題に自然に移るとき |
| Speaking of which, | その話といえば | 直前の話題に関連した内容を続けるとき |
| Before it slips my mind, | 記憶が消える前に(やや切迫感あり) | 疲れていて忘れっぽいことを示すときにも |
この中で一番使い勝手がいいのが "Before I forget," です。直前の話題と何の関係もない用件でも違和感なく切り出せるのが強みで、"By the way," や "Speaking of which," のように話の流れを意識する必要がありません。"Before it slips my mind," も意味はほぼ同じですが、「うっかり忘れそう」という若干の切迫感が乗る分、日常会話では "Before I forget," のほうが圧倒的によく使われます。
☕ ひとくちコラム 中学英文法が一番会話で効いている
"Before I forget," に隠れていた「時を表す接続詞の後ろは未来でも現在形」というルール、実は中学英文法で必ず習っています。"I'll call you when I get home."(家に着いたら電話するね)も同じ仕組みで、"when I will get home" とは言いません。知識として知っていても、いざ自分で話すとなると反射的に will を付けてしまう人がとても多い、典型的な「知ってるのに使えない」文法のひとつです。
こういう細かい文法のクセは、頭で理解するだけでなく口に出して何度も言う練習をしないとなかなか抜けません。こうした英作文の瞬発力を鍛えるには瞬間英作文トレーニングのような反復練習が効果的です。
今日のまとめ
今日誰かと話すときに、本題を切り出す合図として使ってみてください。