オフィスで自分の席に座っていると、同僚がふらっと近づいてきて、こう声をかけてきます。

Can I steal you for a sec?
ちょっといい?時間もらえる?
話しかける前のひとこと。相手を「その場から少し借りる」ようなイメージのカジュアルな呼びかけ。

steal は「盗む」で習った単語のはず。「え、私を盗む…?」と一瞬固まってしまう人は少なくありません。

もちろん物騒な意味ではありません。この "steal you" は「あなたを(今やっていることから)ちょっと借りていく」というくらいの軽いニュアンスで、誰かに話しかけるとき・呼び出すときにネイティブが日常的に使う言い回しです。教科書の "Excuse me" だけでは出てこない、生きた自然さがあります。

意味と使いどころ

"Can I steal you for a sec?" は、作業中や誰かと話している相手に「ちょっとだけ時間をもらいたい」と切り出すときの一言です。相手を丸ごと「連れ去る」わけではなく、あくまで一瞬だけという軽さが伝わります。

💡 なぜ steal が「呼びかけ」になるの? イメージは「今その人を必要としている別の用事から、こっそり借りていく」こと。持ち主(今の作業や会話相手)に断りなくちょっと持っていく感覚が、いたずらっぽく軽い響きを生んでいます。だから深刻な用件にはあまり使いません。

会話で見てみよう

▼ オフィスで、同僚が資料の相談をしたいとき

Hey, can I steal you for a sec? I need your opinion on something.
ねえ、ちょっといい?意見を聞きたいことがあって。
Sure, what's up?
いいよ、どうしたの?

▼ パーティーで、友達をグループから呼び出したいとき

Can I steal you for a second? There's someone I want you to meet.
ちょっと借りていい?紹介したい人がいるんだ。
Yeah, of course. I'll be right back.
うん、もちろん。すぐ戻るね。
その場を離れる相手には、周りへの一声としてこう返すのが自然。

似ている表現との違い

表現ニュアンス場面
Can I steal you for a sec?ちょっと借りていい?(軽くて茶目っ気あり)職場・友達間のカジュアルな呼びかけ
Got a sec?今時間ある?(シンプルに時間の有無)気軽に声をかけるとき全般
Do you have a minute?少しお時間よろしいですかやや丁寧、上司や取引先にも
Can I have a word (with you)?ちょっと話がある(やや深刻)真面目な話・注意の前振り

4つの中で一番「軽さ」が際立つのが steal you です。逆に "Can I have a word?" は、聞いた相手が思わず身構えてしまうくらいフォーマルで重みのある響き。用件が軽いお願いなら steal you、きちんとした相談なら have a minute、という使い分けが自然です。

⚠️ 1つだけ注意 steal のあとに来るのは基本的に「人」です。"Can I steal a sec?" とは言わず、必ず "steal you"(あなたを借りる)の形にします。時間そのものを盗む言い方ではなく、相手の存在をちょっと拝借するイメージだと覚えておきましょう。
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☕ ひとくちコラム 英語の「steal」は物騒じゃない

英語の steal は、実は「盗む」よりずっと広いニュアンスで使われます。舞台やスポーツで注目を独り占めすることを "steal the show"(場をさらう)と言い、人の手柄を横取りすることは "steal someone's thunder"。恋に落ちたときは "You stole my heart."(私の心を奪った)と、ロマンチックな意味にもなります。

共通しているのは「本来そこにあるはずのものを、鮮やかにかっさらっていく」というイメージ。steal = 悪事とは限らず、むしろ「見事にやってのける」褒め言葉寄りの単語にもなり得るのがおもしろいところです。似たような日常フレーズはネイティブが本当に使う英会話フレーズ100選にもまとめています。

今日のまとめ

📌 3秒でおさらい 話しかけるときは "Can I steal you for a sec?"(ちょっといい?)。もう少し丁寧にしたいなら "Do you have a minute?" を使い分けましょう。
今週、誰かに声をかけるタイミングで1回使ってみてください。ちょっとこなれた印象になります。
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