オフィスで自分の席に座っていると、同僚がふらっと近づいてきて、こう声をかけてきます。
steal は「盗む」で習った単語のはず。「え、私を盗む…?」と一瞬固まってしまう人は少なくありません。
もちろん物騒な意味ではありません。この "steal you" は「あなたを(今やっていることから)ちょっと借りていく」というくらいの軽いニュアンスで、誰かに話しかけるとき・呼び出すときにネイティブが日常的に使う言い回しです。教科書の "Excuse me" だけでは出てこない、生きた自然さがあります。
意味と使いどころ
"Can I steal you for a sec?" は、作業中や誰かと話している相手に「ちょっとだけ時間をもらいたい」と切り出すときの一言です。相手を丸ごと「連れ去る」わけではなく、あくまで一瞬だけという軽さが伝わります。
- 仕事中の同僚にちょっと相談したいとき
- パーティーやグループの輪から誰かを少しだけ呼び出したいとき
- "Can I steal you for a minute?" のようにa minuteに変えても同じ感覚で使える
会話で見てみよう
▼ オフィスで、同僚が資料の相談をしたいとき
▼ パーティーで、友達をグループから呼び出したいとき
似ている表現との違い
| 表現 | ニュアンス | 場面 |
|---|---|---|
| Can I steal you for a sec? | ちょっと借りていい?(軽くて茶目っ気あり) | 職場・友達間のカジュアルな呼びかけ |
| Got a sec? | 今時間ある?(シンプルに時間の有無) | 気軽に声をかけるとき全般 |
| Do you have a minute? | 少しお時間よろしいですか | やや丁寧、上司や取引先にも |
| Can I have a word (with you)? | ちょっと話がある(やや深刻) | 真面目な話・注意の前振り |
4つの中で一番「軽さ」が際立つのが steal you です。逆に "Can I have a word?" は、聞いた相手が思わず身構えてしまうくらいフォーマルで重みのある響き。用件が軽いお願いなら steal you、きちんとした相談なら have a minute、という使い分けが自然です。
☕ ひとくちコラム 英語の「steal」は物騒じゃない
英語の steal は、実は「盗む」よりずっと広いニュアンスで使われます。舞台やスポーツで注目を独り占めすることを "steal the show"(場をさらう)と言い、人の手柄を横取りすることは "steal someone's thunder"。恋に落ちたときは "You stole my heart."(私の心を奪った)と、ロマンチックな意味にもなります。
共通しているのは「本来そこにあるはずのものを、鮮やかにかっさらっていく」というイメージ。steal = 悪事とは限らず、むしろ「見事にやってのける」褒め言葉寄りの単語にもなり得るのがおもしろいところです。似たような日常フレーズはネイティブが本当に使う英会話フレーズ100選にもまとめています。
今日のまとめ
今週、誰かに声をかけるタイミングで1回使ってみてください。ちょっとこなれた印象になります。