「ダメ元で奨学金に応募してみようかな…どう思う?」と相談された友人が、あっさりこう返します。

It can't hurt.
やって損はないよ
「ダメ元でやってみたら?」と背中を押す決まり文句。日常会話の超頻出。

直訳で考えた日本人は、ここで混乱します。「それは痛くない…?何の痛みの話??」

痛みの話ではありません。この hurt は「害になる・マイナスになる」という意味。つまり "It can't hurt." は「損になることはあり得ない=やって損はない」という、チャレンジの背中を押す決まり文句です。ネイティブは相談ごとの返事で毎日のように使うのに、学校では「hurt=痛い」しか習いません。今日はこれを、会話例と一緒に「使える状態」までもっていきます。

意味と使いどころ

"It can't hurt" は、「失敗してもマイナスはないんだから、やってみなよ」と気軽に勧めるフレーズです。リスクの低い挑戦を後押しするのにぴったりです。

💡 なぜ hurt が「損」になるの? hurt の核イメージは「ダメージを与える」。体に対してなら「痛める」、状況に対してなら「害になる・不利に働く」です。"It can't hurt (to try)." は「(試しても)ダメージはあり得ない」、つまり「最悪でも現状維持。なら、やるだけ得」という損得勘定のフレーズなんです。

会話で見てみよう

▼ 家賃の値下げ交渉を迷う友達と

Should I ask my landlord for a lower rent? It feels awkward.
大家さんに家賃下げてって頼むべきかな?気まずいんだけど。
It can't hurt to ask. The worst they can say is no.
聞くだけ聞いてみなよ。最悪でも断られるだけだし。

▼ 面接前の準備で

Do I really need to prepare questions for the interviewer?
面接官への質問って、ほんとに準備する必要ある?
It can't hurt. It might even set you apart.
やって損はないよ。むしろ差がつくかも。
couldn't hurt と言っても意味はほぼ同じ。会話では両方よく聞きます。

似ている表現との違い

表現ニュアンス場面
It can't hurt.やって損はない(リスクゼロを強調)ダメ元の行動を後押し
It's worth a try.試す価値はある(リターンに注目)成功の見込みも少しある挑戦
You've got nothing to lose.失うものはないでしょ迷っている人への強めの一押し
Why not?いいんじゃない?やっちゃえば?軽いノリの即答

使い分けのコツは「どこに注目しているか」。"It's worth a try" は「得られるかもしれないもの」、"It can't hurt" は「失うものがないこと」に注目します。成功確率が低そうな話ほど "It can't hurt" がしっくりくる、と覚えておくと便利です。

⚠️ 1つだけ注意 相手の自信作への感想として使うのはNGです。たとえば「この企画どう?」に "It can't hurt." と返すと、「まあ、害はないんじゃない」という気のない同意に聞こえてしまいます。このフレーズはあくまで「迷っている人の背中を押す」用。褒めたいときは "That's a great idea!" と言いましょう。
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☕ ひとくちコラム hurt は「心」も「立場」も傷つける

hurt を「痛い」だけで覚えていると、ネイティブの会話のあちこちでつまずきます。"You hurt my feelings."(あなたの一言で傷ついた)は心のダメージ、"It won't hurt your chances."(あなたの合格の可能性を下げたりしないよ)は立場へのダメージ。体・心・状況、何にでも使える「ダメージ動詞」が hurt の正体です。

こういう「知ってる単語の知らない顔」は、日本語から英語を組み立てる練習をすると一気に定着します。「やって損はないよ」と言いたい場面で "It can't hurt." が反射的に出るようになるまで、瞬間英作文トレーニングで口に馴染ませるのがおすすめです。

今日のまとめ

📌 3秒でおさらい ダメ元の挑戦には "It can't hurt."(やって損はない)。定番形は "It can't hurt to ask."(聞くだけ聞いてみたら)
今週、誰かが「どうしようかな」と迷っていたら1回使ってみてください。
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