駐車場で車のバンパーをこすってしまい、落ち込む友達。それを見たネイティブが、肩をポンと叩いてこう言います。
直訳を組み立てた日本人は、混乱します。「もっと悪くなる可能性がある…?え、励ますどころか脅してない?」
脅していません。これは「もっとひどい事態だってあり得たんだ。それに比べれば今はマシ」という、比較でなぐさめる励ましの決まり文句。worse(より悪い)という単語を使いながら、伝えたいのは「良かったじゃん」のほう。この逆転のカラクリは仮定法にあります。学校で仮定法は習っても、この使い方は習いません。今日はこれを、会話例と一緒に「使える状態」までもっていきます。
意味と使いどころ
"It could be worse" は、悪い状況の中に「でも最悪ではない」という救いを見つけて励ますフレーズです。深刻になりすぎた空気を、ふっと軽くする効果があります。
- 失敗・トラブルに落ち込む人に「不幸中の幸いだよ」と伝えるときに
- 自分の失敗にも "Well, it could be worse."(まあ、最悪ではないか)と気持ちを立て直すときに
- "Could be worse." と主語を省いて言うのも超定番(意味は同じ)
会話で見てみよう
▼ スマホの画面を割ってしまった友達と
▼ 近況を聞かれたときの返事として
似ている表現との違い
| 表現 | ニュアンス | 場面 |
|---|---|---|
| It could be worse. | まだマシだよ(最悪との比較で励ます) | 落ち込む人への慰め |
| Look on the bright side. | 良い面を見ようよ | ポジティブな面へ視点誘導 |
| At least 〜 | 少なくとも〜じゃん | 救いポイントを具体的に指摘 |
| It could have been worse. | (終わった件が)大事に至らなくてよかった | 事故・トラブルの事後の振り返り |
時制の違いに注目です。進行中の状況には "It could be worse."、すでに終わった出来事には "It could have been worse."(もっとひどいことになっていたかもしれない)。事故のあとに「怪我がなくてよかったね」と言うなら後者がぴったりです。
☕ ひとくちコラム 英語の「控えめポジティブ」文化
"How's it going?"(調子どう?)への返事には、"Great!" 以外に控えめ系の定番があります。"Can't complain."(文句は言えないね=まあ順調)、"Not bad."(悪くないよ)、そして今日の "Could be worse."(最悪よりマシ=ぼちぼち)。どれも否定形や比較で遠回しに「悪くない」と言うのが共通点です。
毎回 "I'm fine, thank you." しか返せないと、この「温度のグラデーション」が出せません。ぼちぼちの日は "Could be worse."、良い日は "Pretty good!" と使い分けられると、返事が一気にネイティブらしくなります。挨拶からの会話を広げる練習には瞬間英作文トレーニングがおすすめです。
今日のまとめ
今週、小さな失敗をしたら自分に1回言ってみてください。案外、気持ちが軽くなります。