腕にギプスを巻いて出社してきた同僚。「どうしたのそれ!?」と聞かれて、苦笑いしながらこう返します。
直訳は「それは長い物語です」。「え、物語?本を書いたの?」ではありません。
この一言の本当の役割は、「事情が込み入っていて、今ここで全部説明するのは無理(またはしたくない)」というサインを出すこと。つまり「説明の省略宣言」です。面白いのは、聞いた側も「あ、深掘りしないでおこう」と察するのがマナーだということ。tell me! と食い下がるか、引き下がるかの駆け引きまで含めて、英会話の定番のやり取りになっています。
意味と使いどころ
"It's a long story" は、経緯が複雑な質問への返事として「話せば長くなる」と省略を宣言する決まり文句です。文字どおり長い話があるときにも、深く聞かれたくないときにも使えます。
- 「なんでそうなったの?」へのとりあえずの返事に
- 気まずい事情・失敗談を今は話したくないときに
- 時間がないときに「あとでゆっくり話すよ」の意味を込めて
会話で見てみよう
▼ 月曜の朝、ギプス姿の同僚と
▼ 元カレの話になってしまった女子会で
似ている表現との違い
| 表現 | ニュアンス | 場面 |
|---|---|---|
| It's a long story. | 話せば長くなる(省略宣言) | 今は説明を省きたいとき |
| Long story short, | かいつまんで言うと(要約宣言) | 長い話を要点だけ話すとき |
| It's complicated. | 複雑なんだ(事情アリ) | 人間関係など込み入った状況 |
| Don't ask. | 聞かないで(冗談めかした拒否) | うんざりした気持ちを込めて |
実はこのフレーズ、Long story short,(かいつまんで言うと)と完全に対になる表現です。同じ「長い話」を、話さずに畳むのが It's a long story、要約して話すのが Long story short。「長い話がある」という前提を共有しながら、正反対の選択をする2枚のカードとしてセットで覚えましょう。
☕ ひとくちコラム ドラマが愛する「万能の引き」
海外ドラマを観ていると、"It's a long story." は驚くほどよく出てきます。理由は簡単で、脚本家にとって最高に便利な一言だから。登場人物の過去に謎を残したまま話を進められて、視聴者には「いつか語られる長い物語があるんだな」と期待させられる——つまり「引き」を一言で作れるのです。
そして実生活のネイティブも、この「引き」の効果をちゃっかり使っています。"It's a long story." と言われた側が "I've got time."(時間ならあるよ)と返して、結局その長い話が始まる——という流れも定番のやり取り。こうした自然な応酬は、ドラマや映画からフレーズごと吸収するのが一番です。学習素材としての海外ドラマの使い方は独学勉強法で詳しく紹介しています。
今日のまとめ
今週、「どうしたのそれ?」と聞かれて説明が面倒だったら1回使ってみてください。会話が気まずくならずに前へ進みます。