映画の感想を聞かれたネイティブが、"It was way too long."(長すぎたね)と文句を言ったあと、一呼吸おいてこう続けます。

That being said, the ending made me cry.
とはいえ、ラストでは泣いちゃったけどね。
直前の発言を認めたまま、逆方向の内容を足すときのつなぎ。

日本人が逆接で使える英語は、ほぼ but と however の2つだけ。でも but は直前の発言を打ち消す響きが強く、「長すぎた。でも泣いた」だと前半がなかったことになりがちです。

"That being said," は違います。「今言ったことは本当。それはそのままで、でもね」と、前言を生かしたまま反対側の意見を乗せられる。意見にニュアンスを持たせたい大人の会話で、ネイティブが一日に何度も使うつなぎ表現です。

意味と使いどころ

"That being said," は、直前に述べたことを認めた上で、対照的な内容・逆方向の意見を導入する前置きです。日本語の「とはいえ」「そうは言っても」にぴったり重なります。

💡 なぜこの形なの? 直訳は「それが言われた状態で」。学校英語で悪名高い分詞構文がそのまま決まり文句になった形です。だから短縮版の "That said," も、言い換えの "Having said that," もすべて同じ意味。「前の発言を場に置いたまま、次の話をします」という宣言だとイメージしてください。

会話で見てみよう

▼ 新しいカフェの感想を話す

The coffee at that new place is amazing.
あの新しい店のコーヒー、最高だよ。
It really is. That being said, the prices are kind of crazy.
ほんとそれ。とはいえ、値段はなかなか強気だけどね。
褒めを取り消さずに、マイナス面を1つ追加。角が立たない。

▼ 会議で企画への意見を言う

I love this idea. That being said, we don't have the budget this quarter.
この案はすごくいいと思う。とはいえ、今期は予算がないんだ。
「案は好き」を残したまま現実的な問題を提示。ビジネスで大活躍。
Fair enough. Let's revisit it in April.
ごもっとも。4月に再検討しよう。

似ている表現との違い

表現ニュアンス場面
That being said,前言を認めたまま逆方向へ(丁寧め)会話・仕事のどちらでも◎
That said,同じ意味の短縮版(軽快)日常会話・カジュアルな文章
Having said that,同じ意味の言い換え話し言葉で自然
However,しかし(かたい逆接)書き言葉・フォーマル寄り

上の3つは意味はほぼ同じで、長さと丁寧さが違うだけ。迷ったら一番短い "That said," から使い始めるのがおすすめです。however は正しいものの論文調で、雑談で連発すると少し仰々しく聞こえます。

⚠️ 1つだけ注意 "That being said," の後ろには、必ず直前の内容と方向の違う話を続けてください。「このカフェ最高。とはいえ、ケーキも美味しい」のように同じ方向の話をつなぐと、聞き手は「逆接どこ?」と混乱します。「前言は本当。でも、こういう面もある」の形になっているか、一瞬だけ確認を。
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☕ ひとくちコラム 嫌われ者の「分詞構文」は会話で生きていた

受験英語で最も嫌われる文法のひとつが分詞構文。「〜されると、〜しながら」と訳し方ばかり暗記させられて、多くの人が「一生使わない」と思ったはずです。ところが実際の英会話には、That being said, / Speaking of which,(その話といえば)/ Given that...(〜を考えると)/ Weather permitting(天気が良ければ)と、分詞構文出身の決まり文句が大量に生息しています。

コツは、文法として組み立てないこと。「とはいえ= That being said,」と丸ごと1つの単語のように覚えるだけで、分詞構文は攻略済みになります。文法の仕組みから捉え直したい人はやり直し英文法もどうぞ。

今日のまとめ

📌 3秒でおさらい 前言を認めつつ逆を言うなら "That being said,"。短く言うなら "That said,"、言い換えは "Having said that,"
今週、何かを褒めたあとに一言足したくなったら使ってみてください。意見が急に「大人」になります。
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