条件を全部提示し終えた交渉相手が、書類をテーブルに置き、最後に静かにこう言います。
直訳は「ボールはあなたのコートの中にある」。「え、急にスポーツの話?コートってどこの?」と戸惑うのが普通の反応です。
これはテニス由来のたとえ。テニスでは、ボールが相手のコートに入っている間、こちらにできることはありません。打ち返す(=行動する)責任は、ボールがあるコートの側にある。そこから「決定・行動の順番があなたに移った」という意味の決まり文句になりました。交渉、恋愛、友達との気まずい関係修復まで、幅広く使われます。
意味と使いどころ
"The ball is in your court." は、「こちらのやるべきことは済ませた。次の決断・行動はあなたの側にある」と伝えるフレーズです。責任の所在をはっきりさせつつ、決定権を相手に渡す言い方でもあります。
- 提案や条件を出し終えて相手の返答を待つとき
- 「謝るだけのことはした。あとは向こう次第」のような人間関係の話に
- "The ball is in their court now."(今は先方の番だ)と状況説明にも使える
会話で見てみよう
▼ 転職のオファーをもらった友達
▼ ケンカした友達との仲直りについて
似ている表現との違い
| 表現 | ニュアンス | 場面 |
|---|---|---|
| The ball is in your court. | 次に動く責任はあなたにある | 交渉・相談・関係修復の節目 |
| It's up to you. | あなた次第だよ(選択の自由) | 選択肢を相手に委ねるとき |
| Your call. | 決めるのはあなた(カジュアル) | その場の小さな決定を任せる |
| It's your move. | 次の一手はあなた(チェス由来) | 駆け引きの文脈で |
"It's up to you." が「どっちを選んでもいいよ」という自由の付与なのに対し、"The ball is in your court." は「私は打ち返した。次はあなたが動かないとラリーが止まる」という順番の通告です。返事を促すやわらかい圧が少しだけ入っている、と覚えておくと使いどころを外しません。
☕ ひとくちコラム 英語のビジネス会話はスポーツ用語だらけ
英語圏の会議は、実はスポーツのたとえの見本市です。"touch base"(ちょっと連絡を取る=野球のベースタッチ)、"drop the ball"(ボールを落とす=ヘマをする)、"out of left field"(レフト方向から=突拍子もない)、"game plan"(試合の作戦=計画)。野球・テニス・アメフト由来の表現を知らないと、会議の比喩が半分わからないと言われるほどです。
面白いのは、スポーツをまったく見ない英語話者でも、これらを普通の単語として使っていること。日本語の「土俵に上がる」「真剣勝負」を相撲や剣道を知らなくても使うのと同じですね。ビジネス英語の頻出表現はビジネス英語の記事でまとめて解説しているので、会議やメールで戦うあなたはぜひチェックを。
今日のまとめ
今週、返事待ちの案件があったら、この表現で状況を説明してみてください。テニスのラリーが見えれば、もう忘れません。