「パイナップルのピザ、あれこそ最高でしょ」と力説する友人に、あなたは笑ってこう返します。

To each their own.
まあ、人それぞれだよね。
価値観の違いを認めて争いを終わらせる定番句。

動詞がありません。「それぞれに、それぞれのもの」という不思議な形です。

省略を補うと To each person, their own taste.(人それぞれに、その人なりの好みがある)。つまり「人それぞれだね」議論を穏やかに終わらせるための、大人の一言です。

意味と使いどころ

To each their own. は好みや価値観の違いをそのまま認める表現です。否定も同意もせずに話を収めるのが役割。

💡 their は単数の「その人の」 かつては To each his own. が標準でしたが、性別を限定しない 単数の they/their が広く定着し、いまは To each their own. が主流です。同じ流れで Everyone should bring their own lunch. のような言い方も完全に自然になりました。英語は今も動いているという好例です。

会話で見てみよう

▼ ピザの具材で意見が割れて

Pineapple on pizza is objectively the best.
ピザにパイナップルこそ客観的に最高でしょ。
To each their own. I'll stick with pepperoni.
人それぞれだね。私はペパロニでいくよ。

▼ 働き方の話をしながら

I could never work from home. I'd go crazy.
在宅勤務なんて絶対無理。おかしくなるよ。
To each their own. It works great for me.
人それぞれだよ。私にはすごく合ってる。
自分の立場も添えると、逃げではなく対等な意見交換になる。

似ている表現との違い

表現ニュアンス場面
To each their own.人それぞれ(価値観の尊重)好みが分かれる話題に
Whatever floats your boat.あなたが良ければそれでいい(カジュアル)友達との軽い会話
Different strokes for different folks.十人十色(やや古風)ユーモラスに言いたいとき
Fair enough.まあ納得(相手の理由を認める)説明を聞いたあと

To each their own. はやや落ち着いた大人の響き。友達同士のノリなら Whatever floats your boat. のほうが軽くて自然です。どれも議論を終わらせる合図である点は共通しています。

⚠️ 1つだけ注意 相手が真剣に意見を求めているときに使うと、「議論する気がない」と受け取られます。また明らかな事実の誤りに対して使うのも不適切。好みの問題に限定するのが正しい使い方です。
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☕ ひとくちコラム 議論を終わらせる言葉の作法

英語圏では意見が割れたまま終わることに抵抗が少なく、合意しないことに合意する(agree to disagree)という表現まであります。To each their own. はその軽量版と言えます。

重要なのは終わらせ方に敬意があるか。Whatever.(どうでもいい)で切ると関係が傷つきますが、To each their own. なら相手の立場を認めたまま終われます。どう終えるかが、次にどう話せるかを決めるのは、どの言語でも同じですね。

今日のまとめ

📌 3秒でおさらい 好みが分かれたら To each their own.(人それぞれだね)否定も同意もせずに穏やかに終わらせる一言。
友達同士なら Whatever floats your boat. も同じ意味で使えます。
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