「駅まで車で送ろうか?」と申し出てくれた友達に、ネイティブは笑顔で手を振りながらこう言います。

Don't bother.
わざわざいいよ
相手の申し出に「手間をかけなくて大丈夫」と返す気遣いの一言。

bother =「邪魔する・悩ませる」と覚えている日本人は、ここで混乱します。「Don't bother……邪魔しないで!?せっかく親切にしてくれたのに!?」

誤解です。ここでの bother は「邪魔」ではなく「わざわざ手間をかける」という意味。"Don't bother." は「そんな手間をかけなくていいよ、お構いなく」という、相手の負担を減らしてあげる優しい断りなんです。日本語の「わざわざいいって!」に、ほぼ1対1で対応します。

意味と使いどころ

bother には「(人を)悩ませる」のほかに「わざわざ〜する・手間をかける」という意味があります。"Don't bother." は、相手がしてくれようとしている手間を「不要だよ」と止めるフレーズです。

💡 bother の2つの顔 bother の核は「小さな負担をかける」こと。負担が「他人から自分へ」なら「悩ませる・邪魔する」(Sorry to bother you=お邪魔してすみません)、「自分が自分に」なら「わざわざ手間をかける」になります。Don't bother. は後者。「自分に負担をかけないで=わざわざいいよ」という構造が見えれば、もう混乱しません。

会話で見てみよう

▼ 帰り際、雨が降ってきた

Want me to drive you home? It's pouring out there.
家まで送ろうか?外、土砂降りだよ。
Don't bother. The station is only five minutes away.
わざわざいいよ。駅まで5分だし。

▼ 友達の家で、お茶を出そうとしてくれた

Let me make you some coffee. It'll just take a minute.
コーヒー淹れるよ。すぐできるから。
Oh, don't bother. I just had one on the way here.
あ、お構いなく。来る途中に飲んできたんだ。
Oh や理由を添えると「気持ちは嬉しい」感が出て柔らかい。

似ている表現との違い

表現ニュアンス場面
Don't bother.わざわざいいよ(手間を止める)送迎・手伝いなどの申し出への返事
No need.その必要はないよ(事実ベース)「もう済んでる」など理由があるとき
Don't worry about it.気にしないで相手が恐縮・心配しているとき
I'm good, thanks.大丈夫、ありがとう(丁寧な辞退)おかわり・勧めへの定番の断り

4つとも「お構いなく」ファミリーですが、Don't bother. は相手がこれから掛けようとしている手間を止めるのが専門。すでに済んだことへのお詫びには Don't worry about it.、飲み物の勧めには I'm good, thanks. が自然です。迷ったら "I'm good, thanks." がいちばん事故りません。

⚠️ 1つだけ注意 "Don't bother." は言い方を間違えると「やっても無駄だから」という冷たい突き放しになります。たとえば喧嘩中に吐き捨てる "Don't bother."は「もう結構」という拒絶。優しさとして使うなら、笑顔+"thanks" や理由をセットにして "Don't bother, thanks though!"(いいよいいよ、でもありがとう!)まで言うのが安全です。
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☕ ひとくちコラム bother 一族は「めんどくさい」の宝庫

bother はネイティブの日常に驚くほど頻出する単語です。人に声をかける前の "Sorry to bother you."(お邪魔してすみません)、「なんで気にするの?」の "Why bother?"(そんなの、やるだけ無駄じゃない?)、そして極めつけが "I can't be bothered."——「わざわざやる気になれない=めんどくさい」という、英語圏の国民的ぼやきです。

この「めんどくさい」の決定版はI can't be bothered. の記事で丸ごと解説しています。bother=「小さな負担」と掴んでおけば、邪魔・手間・面倒の全部に応用が利く。1単語で3つの表現が手に入る、コスパ最強の単語です。

今日のまとめ

📌 3秒でおさらい 申し出には "Don't bother, thanks though!"(わざわざいいよ、でもありがとう)。事実ベースなら "No need."、勧めには "I'm good, thanks."
今週、誰かが気を使ってくれたら、感謝を添えてこの一言を返してみてください。
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