第一志望の会社から内定の電話をもらったネイティブ。電話を切った瞬間、ガッツポーズと一緒にこう叫びます。
直訳は「私は月の上を越えている」。初見の日本人はこう思います。「月を…越える? 宇宙飛行士の話?」
もちろん比喩です。嬉しすぎて飛び上がったら月まで飛び越えてしまった——それくらいのハッピー、という意味。日本語の「天にも昇る気分」と発想がそっくりで、高さの単位が「天」か「月」かの違いだけです。happy の最上級リアクションとして、ネイティブは人生の節目でこれを口にします。
意味と使いどころ
"I'm over the moon" は、これ以上ないほど嬉しい・幸せを伝えるフレーズです。「嬉しい」の在庫が happy しかない人は、これを入れるだけで表現力が一段跳ね上がります。
- 合格・内定・昇進など人生のビッグニュースに
- "She's over the moon about the baby."(彼女、赤ちゃんのことで幸せいっぱいだよ)のように about + 名詞 で理由を言える
- 特にイギリス英語でよく使われる(アメリカでももちろん通じる)
会話で見てみよう
▼ 合格発表の日
▼ 結婚の報告を受けて
似ている表現との違い
| 表現 | ニュアンス | 場面 |
|---|---|---|
| I'm over the moon. | 天にも昇る気分(特に英国で定番) | 人生のビッグニュース |
| I'm on cloud nine. | 雲の上にいる気分・幸せの絶頂 | ふわふわした多幸感が続くとき |
| I'm thrilled. | ワクワクで胸が高鳴る | フォーマルな場でも使える万能語 |
| I couldn't be happier. | これ以上幸せになりようがない | スピーチ・お礼の挨拶 |
面白いのは、over the moon も on cloud nine も「幸せ=空高く昇る」という同じ発想でできていること。ビジネスメールで使いやすいのは thrilled("We're thrilled to announce 〜" は企業の発表の定型文)、友達へのリアクションなら over the moon、と場面で使い分けましょう。
☕ ひとくちコラム 牛が月を飛び越える歌
由来になった童謡『Hey Diddle Diddle』は、猫がバイオリンを弾き、牛が月を飛び越え、お皿がスプーンと駆け落ちするという、なかなかカオスな歌詞のマザーグースです。英語圏の人はこれを聞いて育つので、over the moon と聞くと頭の中であの牛がジャンプするわけです。イディオムの背景には、こうした「みんなが共有している物語」が隠れていることがよくあります。
ちなみに、幸せ報告を受け取る側の英語も揃えておくと会話が完成します。友達のビッグニュースにはまずGood for you!(よかったじゃん!)と祝福を返し、そのあと "You must be over the moon." と続ければ、ネイティブそのものの喜びの受け答えになります。嬉しい日の英語は、遠慮なく大げさにいきましょう。
今日のまとめ
今週、いいことがあったら happy の代わりに使ってみてください。