専門用語だらけの説明に、相手はぽかんとした顔。それに気づいたエンジニアが、ひと呼吸おいてこう言いました。

Okay, let me put it this way.
オーケー、こう言えばいいかな。
伝わらなかった説明を、別の角度から言い直すときの前置き。

学校で習った put は「置く」。だから日本人は「それをこの方向に置く…? 何を? どこに?」と迷子になります。

この put が置いているのは、モノではなく言葉です。put it this way = 「それをこういう言葉で表現する」。つまりこのフレーズは「今の言い方じゃ伝わらなかったから、別ルートで説明し直すよ」という予告。説明上手なネイティブが会話の随所で挟んでくる、コミュニケーションの立て直しフレーズです。

意味と使いどころ

"Let me put it this way" は、同じ内容を別の表現・別のたとえで言い直すときの前置きです。「説明をあきらめない」姿勢を見せられるので、聞き手はとても安心します。

💡 put =「考えを言葉に置く」 英語では「表現する」を put で言う用法が大活躍します。"Well put!"(うまいこと言うね)、"How should I put it?"(何て言えばいいかな)、"To put it simply,"(簡単に言うと)。頭の中の考えを、言葉という器に盛り付けるイメージです。this way は「この盛り付け方で」。put のこの顔を知ると、ネイティブの会話が一段クリアに聞こえます。

会話で見てみよう

▼ 後輩に投資のリスクを説明して

So diversification reduces unsystematic risk and...you're lost, aren't you?
つまり分散投資は非システマティックリスクを低減して…って、ついてきてないでしょ?
Let me put it this way: don't put all your eggs in one basket.
こう言えばいいかな。「卵を全部ひとつのカゴに入れるな」ってこと。

▼ 新しくできたレストランの感想を聞かれて

How was that new restaurant? Should we go?
あの新しいレストランどうだった? 行くべき?
Let me put it this way: the best part was the parking.
こう言っておくよ。一番良かったのは駐車場だった。
直接けなさず察してもらう用法。オチとして使うユーモアの定番。

似ている表現との違い

表現ニュアンス場面
Let me put it this way.こう言えばいいかな(角度を変えて再挑戦)伝わらない説明の立て直し・遠回しな本音
In other words,言い換えれば(要約・翻訳)直前の内容を別の言葉でまとめ直す
What I mean is,つまり言いたいのは誤解されたとき、真意を出し直す
How should I put it?何て言えばいいかな…言葉を探して考え込む間つなぎ

"In other words" が内容の言い換えを淡々と行うのに対し、"Let me put it this way." は「仕切り直します」という宣言込み。相手の理解が追いついていない空気を察して、伝え方そのものを変えるニュアンスがあります。put つながりの "How should I put it?" は言葉に詰まったときの間つなぎで、セットで覚えると便利です。

⚠️ 1つだけ注意 このフレーズには「遠回しに悪い知らせ・辛口の本音を予告する」使い方があります。"Let me put it this way: I wouldn't invest."(こう言っておくよ、私なら投資しない)のように、直接言うのを避けた含みの表現になるのです。ネイティブがこの前置きでニヤッとしたら、続くのはオブラートに包んだ本音だと思って聞きましょう。
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☕ ひとくちコラム put を制する者は「説明」を制する

put の「表現する」ファミリーは、覚えるほどお得です。控えめに言うときは "to put it mildly"(控えめに言っても)、ざっくり言うなら "simply put"(簡単に言えば)、そして相手の名言には "Well put!"(言い得て妙!)。どれも中学英語の put でできているのに、使えると一気に英語上級者の顔になります。難しい単語ではなく、簡単な単語の意外な顔こそがネイティブらしさの正体です。

ちなみに「説明を仕切り直す」フレーズには、本題を切り出す相棒がいます。Here's the thing.(あのさ、実はね)です。"Here's the thing" で核心の入口に立ち、伝わらなければ "Let me put it this way" で角度を変える。この2枚を持っていれば、英語の説明で立ち往生することはほぼなくなります。

今日のまとめ

📌 3秒でおさらい 説明が伝わらなかったら "Let me put it this way."(こう言えばいいかな)と仕切り直し。put は「言葉にする」の put。含みのある本音の前置きにもなる。
今週、英語の説明に詰まったら1回使ってみてください。「説明をあきらめない人」は、それだけで信頼されます。
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