"Mark totally dropped the ball on that project."(あのプロジェクト、マークが完全にやらかしたよね)と同僚が愚痴をこぼしたとき、隣のネイティブが静かにこう言います。
fair =「公平な」。単語としては中学で習います。でも、誰かが責められている場面で「彼のためにひとことフォローすると」と弁護を差し込むこの使い方は、教科書に載っていません。
"To be fair," のすごさは、反論なのにケンカにならないこと。相手の意見を否定せず、「公平のために、こっち側の事情も置いておくね」と情報を1つ足すだけ。空気を壊さず違う視点を出したい日本人にこそ、ぴったりの潤滑油フレーズです。
意味と使いどころ
"To be fair," は、話が一方向に偏ったとき、反対側の事情も添えてバランスを取る前置きです。「公平に言えば」「フォローしておくと」「まあ、彼の名誉のために言うと」に相当します。
- 責められている人を軽くかばうとき
- 自分が何かを批判したあとにフォローを添えるとき
- 相手の意見に「一理ある。ただ、こういう面も」とやわらかく別視点を出すとき
会話で見てみよう
▼ レストランの感想を言い合う
▼ 締め切りに遅れた自分をフォロー
似ている表現との違い
| 表現 | ニュアンス | 場面 |
|---|---|---|
| To be fair, | 公平のために反対側の事情を追加 | 弁護・フォロー・バランス取り |
| In all fairness, | 同じ意味のやや強調版 | 議論・書き言葉でも◎ |
| In his/her defense, | 彼(彼女)を弁護すると | 責められている特定の人をかばう |
| That being said, | とはいえ(前言に逆方向を足す) | 自分の直前の発言への追加 |
ポイントは「何に対してバランスを取るか」。to be fair は相手の発言や場の空気に対して、That being said, は自分の直前の発言に対して、逆側を足します。かばう相手が特定の人なら in his defense がいちばんピンポイントです。
☕ ひとくちコラム イギリス人の口ぐせになった "to be fair"
"To be fair," はイギリス英語で特に愛されていて、サッカー選手のインタビューでは「とりあえず to be fair から始まる」とネタにされるほど頻出します。使い込まれるうちに本来の「公平に言えば」から意味が薄れ、「まあ、正直」「ぶっちゃけ」くらいの軽い前置きとして使われる場面も多い。ネットやチャットでは tbf と略され、"tbf he did apologize"(まあ実際、彼は謝ってたけどね)のように毎日流れています。
フレーズは使われるほど意味がすり減り、口ぐせ化する――言語の宿命です。とはいえ会議や交渉では、本来の「バランスを取る」用法が今も現役。ビジネス英語の記事では、この種の「角を立てない反論」の型をまとめて紹介しています。
今日のまとめ
今週、誰かが責められる場面に出くわしたら、この一言でそっとバランスを取ってみてください。あなたの株が静かに上がります。