英単語の覚え方は世の中に無数にありますが、心理学の実験で繰り返し効果が確認されている方法は2つだけです。間隔をあけることと思い出すこと。逆に言えば、この2つを外した方法は、どれだけ流行っていても分が悪い。
🧠なぜ「書いて覚える」は効率が悪いのか
単語を10回ずつノートに書く。多くの人が学校で教わったやり方です。しかしこれは時間あたりの効率がきわめて低い方法です。
理由は単純で、書いている最中の脳は「思い出す」作業をしていないから。目の前に答えがある状態で手を動かしても、記憶を引き出す回路は鍛えられません。
同じ理由で、眺めるだけやマーカーを引くのも効率が悪い。どちらも「見たことがある」という感覚だけが強くなり、覚えた気になるという最悪の副作用があります。
🧠方法①:間隔をあける(間隔効果)
同じ10回を、1日でまとめてやるか、10日に分けてやるか。後者が圧倒的に強いことが、100年以上前から繰り返し確認されています。
ポイントは「忘れかけたころ」に出会うこと。完全に忘れる前、でも少し思い出しにくい——その状態で思い出すと、記憶が強く固定されます。
実務的な間隔の目安
| 回数 | タイミング | やること |
|---|---|---|
| 1回目 | その日 | 意味を見る(覚えようとしない) |
| 2回目 | 翌日 | 思い出せるか試す |
| 3回目 | 1週間後 | 思い出せなかった語だけ |
| 4回目 | 1か月後 | 同上 |
厳密に守る必要はありません。大事なのは「1回で覚えようとしない」という一点です。根拠は間隔効果の記事にあります。
目標を立てる前に、現在地を知るほうが先です。 当サイトの語彙力テストは3分で終わり、CEFR(国際的な語学レベルの基準)で判定が出ます。 「単語をやるべきか、次の段階に進むべきか」がその場で決まります。
無料で語彙力を測る(登録不要)🧠方法②:思い出す(テスト効果)
もう1つが思い出す練習です。読み返すのではなく、隠して当てにいく。
- 単語だけ見て、意味を口に出す(頭の中でもOK)
- 合っていたら次へ。間違えたらそこで意味を見る
- 1周終わったら、間違えた語だけもう1周
この2つを組み合わせると、やることは1行にまとまります。
1周を速く回して、間隔をあけて、思い出せなかった語だけ何度も戻る🧠覚えられない単語だけが残ったら
何周しても落ちない単語が必ず20〜30語出てきます。そこで初めて語源とイメージの出番です。最初から全部の単語で語源をやると時間が足りませんが、頑固な単語を落とすための最終手段としては非常に強い。
- 語源で分解する — im(中へ)+ port(運ぶ)= import。port が付く語(export / transport / portable)が一気につながります
- 絵にする — 意味ではなく場面を思い浮かべる
- 語呂に逃げる — 邪道に見えますが、残り20語を落とすためなら十分に合理的です
語源の実例は語源で覚える英単語にまとめました。muscle の語源が「小さなネズミ」だと知ると、その単語はもう忘れません。
🧠やってはいけない3つ
- 1周目から完璧に覚えようとする — 最頻出の失敗。100語目で力尽きて単語帳が止まります
- 単語帳を何冊も買う — 1冊3周が、3冊1周に勝ちます。新しい本を買う行為は、勉強ではなく気分転換です
- 音を無視する — 文字だけで覚えた単語は聞いても分かりません。リスニングで詰む原因の大半がこれです
🧠1日の組み立て:単語は3回に分けると強い
間隔効果を最大限に使うなら、1日の中でも分けたほうが効きます。まとめて30分やるより、10分×3回のほうが定着します。
| タイミング | 時間 | やること |
|---|---|---|
| 朝 | 10分 | 新しい範囲を見る。覚えようとしない |
| 移動中 | 10分 | 朝の範囲を音声で聞く。目は使わない |
| 夜 | 10分 | 朝の範囲を隠して当てる。印を付ける |
3回そろわない日があっても問題ありません。大事なのは「翌日に1回戻る」ことだけ。最も失われやすいのが最初の24時間だからです。
音声を使う時間を必ず作る
移動中の10分を軽く見ないでください。文字で覚えた単語は、聞いても分からないままになります。リスニングが伸びない人の多くは、単語を知らないのではなくその単語の音を知らないだけです。
聞き流しでいいのか、という疑問については聞き流しが効く条件にまとめました。結論だけ言うと、すでに意味を知っている音声なら効きます。
❓よくある質問
Q. 英単語は書いて覚えるべきですか?
A. 効率だけで言えばおすすめしません。書いている最中は思い出す作業をしていないためです。同じ時間を使うなら、隠して思い出す練習に充てるほうが定着します。ただし綴りを正確に書けるようにしたい場合(英作文・英検ライティング)は別で、その目的なら書く練習に意味があります。
Q. 1日何語ずつ覚えればいいですか?
A. 「覚える」ではなく「触れる」なら、1日50〜100語でも問題ありません。1周を速く回して回数で定着させるのが基本方針です。1日10語を完璧にするより、100語を5周するほうが結果的に多く残ります。
Q. 覚えてもすぐ忘れてしまいます。
A. 正常です。忘れるのは記憶の欠陥ではなく仕様です。だから忘れかけたころに思い出すことを繰り返します。詳しくはなぜ忘れるのかをご覧ください。