答え"couldn't care less"(それ以上少なく気にすることはできない=もう気にしていない)が先にあった言い方で、"could care less" は1960年代ごろのアメリカで生まれた変化形です。論理的には正反対のはずなのに、くだけた会話では同じ「どうでもいい」として定着しており、なぜ "not" が抜け落ちたのかについては複数の説が語られていますが、どれも確証はありません。

📖くわしく解説します

"Honestly, I could care less what they think."(正直、彼らがどう思おうとどうでもいい)——文字通りに読めば「もっと気にすることもできる」、つまり「多少は気にしている」という意味になりそうなフレーズです。ところが実際のアメリカ英語では、"I couldn't care less."(これ以上気にしないことは不可能なくらい気にしていない)とまったく同じ「どうでもいい」の意味で使われています。否定語 "not" がすっぽり抜けているのに、意味が反転しないという、英語ネイティブ自身もあまり説明できない現象です。

辞書サイトMerriam-Websterによれば、古いほうの "couldn't care less" は1929年のHearst's International-Cosmopolitan誌に類例が見られるなど、少なくとも1930〜40年代にはすでに使われていたとされます。イギリスで生まれ、第二次世界大戦後にアメリカへ渡ってきた兵士たちが広めたという説も語られますが、Merriam-Webster自身もこれは確証のない推測にすぎないと断っています。

問題の "could care less" が現れるのはそれより後、1960年代のアメリカです。Oxford English Dictionaryが確認した最古の例は1966年のシアトルの新聞記事とされています。なぜ "not" が消えたのかについては諸説あり、決着していません。言語学者スティーブン・ピンカーはこれを一種の皮肉的な抑揚の問題だと説明し、"could care less" を言うときの独特の強弱(わざと間延びさせた言い方)そのものが「本気で言っていない」という皮肉のサインになっていると論じています。辞書サイトDictionary.comは、イディッシュ語由来の皮肉表現("I should be so lucky!" のような、本音と裏腹なことをわざと言う言い回し)の影響を受けたのではないかという説を紹介していますが、これもあくまで一つの仮説です。単に発音しやすく短くなっただけ、という身も蓋もない説も根強くあります。

現在もアメリカの文章作法の手引きの多くは、論理的に正しい "couldn't care less" を使うよう勧めています。それでも口語では "could care less" のほうが優勢な地域もあるほど広まっており、両方を聞いた日本人学習者が混乱するのも無理はありません。英語を論理だけで理解しようとすると足をすくわれる、口語表現の典型例といえます。

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Honestly, I could care less what they think of my decision.
正直、彼らが私の決断をどう思おうとどうでもいい。

🏷 could care less couldn't care less native ネイティブの本音 Steven Pinker 口語表現

❓まとめ

Q. "I could care less." と "I couldn't care less." ——アメリカ人は正反対の意味に見えるこの2つを、同じ「どうでもいい」として使っている。なぜ "not" が消えても意味が変わらないのでしょうか?

A. "couldn't care less"(それ以上少なく気にすることはできない=もう気にしていない)が先にあった言い方で、"could care less" は1960年代ごろのアメリカで生まれた変化形です。論理的には正反対のはずなのに、くだけた会話では同じ「どうでもいい」として定着しており、なぜ "not" が抜け落ちたのかについては複数の説が語られていますが、どれも確証はありません。

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