📖くわしく解説します
"Please advise." は、ビジネスメールの結びに添える決まり文句として広く使われています。辞書的には「ご助言・ご指示をください」という、文法上なんの問題もない表現です。ところが2022年に英国の調査会社TollFreeForwarding社が行った調査では、職場メールの「険のある言い回し」ランキングで、この一言が "Kind regards" や "Friendly reminder" を抑えて1位になりました。以前この連載で紹介した "Per my last email"(前にも言いましたよね、という当てこすり)も同じ調査で候補に挙がっていますが、"Please advise" のほうが一歩上を行く結果だったのです。もっとも、この調査は印象を尋ねたアンケートであり、学術的に厳密な分析ではないことは留意が必要です。
このフレーズ自体は新しいものではありません。言葉の由来を扱うDictionary.comによれば、少なくとも18世紀から正式な文書で使われてきた表現で、19世紀には文字数に応じて料金がかかる電報でも、簡潔に返答や情報提供を求められる定型句として重宝されました。20世紀後半にはこの習慣がそのままメールへ引き継がれ、ビジネス文書の決まり文句として広く定着したとされています。つまり「険のある言い回し」という評判は比較的新しく、使われ方自体はずっと昔から変わっていません。
では、なぜ今の職場でこの一言が煙たがられるのか。ビジネス文書の書き方を解説するBusinessWritingBlogは、"Please advise" が何を求めているのかが本文からはっきりしないまま、判断や対応を相手にすべて委ねてしまう点を問題視しています。特に、問題点を長々と書き連ねたメールの最後にこの一言で締めると、相手はまるで責められているように感じやすいといいます。丁寧な形式を保ちながら「あとはそちらで考えてください」という負担を押しつける、そのギャップこそが険のある印象につながっているのです。
だからといって、この表現が常にNGというわけではありません。法務や金融など、もともと堅い言い回しが定着している分野や、相手が専門知識を持っていて何を聞かれているかが明確な場面では、今でも自然に使われています。問題になりやすいのは、本来 "Could you confirm which option to proceed with?"(どちらの案で進めるか確認してもらえますか)のように具体的に書けるのに、それを "Please advise" の一言で丸投げしてしまう場面です。「ご教示ください」をそのまま直訳して結びに添えている人は、意図せず相手に険のある印象を与えているかもしれません。
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❓まとめ
Q. ビジネスメールの結びでよく使う "Please advise."。「ご教示ください」のつもりで添えるこの一言、ネイティブの間では「もっとも険のあるフレーズ」の1位に選ばれたことがあると知っていましたか?
A. 2022年に英国の調査会社が行った職場メールに関する調査で、"Please advise" は「もっとも passive-aggressive(険のある)」フレーズの1位に選ばれました。丁寧な形をしていながら、相手に判断や説明をすべて押しつける響きがあるためです。