家を出てから「あ、傘忘れた」と気づいて、「あーあ、うっかりしてた」と独り言。この「うっかりしてた」は、英語では It slipped my mind. と言います。slip は「するりと滑り落ちる」という意味の動詞で、覚えていたはずのことが記憶からつるっと抜け落ちてしまった感覚を、そのまま表せます。
ここで「うっかりしてた」を直訳して I was careless. と言ってしまうと、ネイティブには「私はいつも不注意な人間だ」という性格の話に聞こえます。日本語の「うっかり」は、その場限りの記憶の抜け落ちを軽く言う言葉であって、性格を反省しているわけではありません。careless という形容詞に置き換えるのではなく、it slipped my mind という「主語は自分ではなく“それ”」という発想に切り替える必要があります。
なぜ「I was careless.」ではないのか
slip one's mind は「(物事が)人の記憶から滑り落ちる」という意味の言い方で、主語になるのは人ではなく「忘れられた物事」のほうです。It slipped my mind. は直訳すると「それが私の記憶から滑り落ちた」で、うっかり物を忘れたときにそのまま使えます。何を忘れたのか言いたいときは Bringing my umbrella slipped my mind.(傘を持ってくるのをうっかり忘れてた)のように、slip の主語に「忘れた物事」を置くだけで通じます。
もっと手軽に言いたいときは、I totally forgot.(すっかり忘れてた)も便利です。forgot は「忘れた」という事実だけを伝える言い方で、slipped my mind は「うっかり」というニュアンスまで含む言い方、と使い分けると自然です。逆に「うっかり」を careless という性格の話にしてしまうと、単なる物忘れが人格否定のように響いてしまうので注意してください。
会話で見てみよう
言い換えのバリエーション
| 英語 | 使いどころ |
|---|---|
| It slipped my mind. | うっかりしてた、の基本の言い方 |
| Bringing my umbrella slipped my mind. | 何を忘れたのか対象を言うとき |
| I totally forgot. | すっかり忘れてた、と言いたいとき |
| I must have spaced out. | ぼんやりしていてうっかりした、と言いたいとき |
- うっかりしてたは It slipped my mind. が自然な言い方
- carelessと訳すと性格の話になってしまうので注意
- すっかり忘れてた、なら I totally forgot. も使える
「これ英語で何て言うんだろう」を、毎日1本ずつ潰していきます。