📖くわしく解説します
会議で自分の意見を言った後、相手が "I hear you." と返してきた——そのとき、日本語の「聞いてもらえた」という感覚でそのまま安心してしまうと、後で話がすれ違うことがあります。英語の I hear you は文字通りには「あなたの言うことは聞こえています」という意味ですが、実際の会話では理解はしたが同意はしていないという合図として使われる場面が少なくありません。
これは英語圏のビジネスコミュニケーション解説でも繰り返し取り上げられる、いわば定番のパターンです。"I hear you, but I think we should start smaller."(言いたいことはわかる、でももっと小さく始めた方がいいと思う)のように、I hear you の直後に but が続く形が典型例として紹介されており、相手の顔を立てながら反対意見を切り出すためのクッション言葉として機能しています。相手の意見をいったん受け止めてから反論するという、言語学でいうポライトネス(丁寧さ)の戦略の一種です。
ポイントは、hear(聞く)という動詞そのものが agree(同意する)を意味しないということです。日本語の「わかりました」も本来は同じ二面性を持つ言葉ですが、ビジネスの場では「了承」の意味に寄って使われがちです。英語の I hear you はその曖昧さを保ったまま使われるため、「理解はしたが、行動を変えるとは言っていない」という立場を保険として残しておける便利な言い回しになっています。but の代わりに and を使い "I hear you, and..." とすると、相手の考えの上に自分の提案を重ねるニュアンスになり、but ほど対立的には響きません。
見分け方は単純で、I hear you. のあとに沈黙や話題の転換が続いたら、それはやんわりとした「ノー」のサインである可能性が高いということです。逆に "I hear you, and I completely agree." のように同意の言葉がはっきり続くなら、額面通りに受け取って構いません。文字通りの意味と会話の中で使われる意味がずれるのは英語ではよくあることで、I hear you はその代表例のひとつです。
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❓まとめ
Q. 「I hear you.」と言われて安心してはいけない。ネイティブがこのフレーズで本当に伝えたいことは?
A. I hear you. は「あなたの話は聞いた」という表面的な意味の裏に、「理解はしたが、同意はしていない」という穏やかな反対のサインを隠していることが多い表現です。