📖くわしく解説します
英語のフォーマルな文章で "She wanted to visit Paris; her husband wanted to see Rome." のように使われるセミコロン。ピリオドで切るには関連が強すぎ、コンマでつなぐには文として重すぎる2つの文を、ゆるやかに結びつける役目を持っています。日本の学校文法ではほとんど習わない記号ですが、英語の報道記事やエッセイでは今も現役です。
この記号の起源はかなり特定されています。イタリアの印刷業者アルドゥス・マヌティウスの工房が、1494年にヴェネツィアで出版したピエトロ・ベンボの著書 "De Aetna" で、世界初の活字としてのセミコロンを使ったというのが広く伝えられている説です。実際に活字を彫ったのは工房の彫刻師フランチェスコ・グリフォだったとされます。形はコロンの下の点をコンマに置き換えたもので、もともとはリストの中の項目をさらに細かく区切るための記号でした。手書きの文書にはこれより古い類似の記号が8世紀ごろから見られるという指摘もあり、マヌティウスを完全な「発明者」と呼べるのかについては見方が分かれています。
英語がこの記号を正式に取り込むまでには、さらに時間がかかりました。16世紀末のスペリング解説書はまだセミコロンを記号として認めておらず、劇作家ベン・ジョンソンが1590年代にまとまった形で使い始めたのが英語での早い例とされています。文法規則として確立したのは、チャールズ・バトラーが1633年に出した英文法書でセミコロンの使い方を定めたときだというのが有力な見方です。イタリアで生まれてから、英語の正式な記号として定着するまで140年近くかかったことになります。
ところがその後も、セミコロンは作家たちから何度も攻撃されてきました。カート・ヴォネガットは2005年のエッセイ集で、セミコロンは何の意味も表さず、大学に行ったことを見せつけるためだけの記号だと切り捨て、使わないよう説いたことで知られています。ジョージ・オーウェルも編集者への手紙で次の小説ではセミコロンを使わないと宣言したと伝えられますが、研究者が実際の初版本を調べたところ、いくつかのセミコロンがそのまま残っていたこともわかっています。嫌われながらも、コンマだけでは弱すぎず、ピリオドでは切りすぎる場面があるかぎり、セミコロンは今も生き残っています。
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❓まとめ
Q. 英語の「;」セミコロンは、1494年にイタリアの印刷業者が考え出したとされる記号なのに、カート・ヴォネガットのような作家たちから今も「使うな」と嫌われ続けているのはなぜでしょうか?
A. セミコロン(;)は1494年、イタリアの印刷業者アルドゥス・マヌティウスの工房がヴェネツィアで出版した書物の中で、世界で初めて活字として使ったとされる記号です。コンマより強く、ピリオドより緩く文をつなぐために考え出されましたが、誕生から500年以上経った今も、使うべきでないと説く作家が絶えないほど、好き嫌いが分かれ続けている記号です。