答え中世イギリスのパン屋が、重さ不足で罰を受けないよう保険として1個多く渡した習慣が有力な語源とされていますが、その習慣を定めた法律の条文と、「baker's dozen」という言葉自体の記録とのあいだには数百年の空白があり、両者を直接つなぐ一次資料はまだ見つかっていません。

📖くわしく解説します

英語で a baker's dozen と言えば、12個のはずの1ダースが13個になることを指します。"The bakery threw in a baker's dozen."(そのパン屋は1個多く13個くれた)のように、今では菓子やパン以外のおまけにも使われる言い回しです。ちなみにごく稀に14個を指して使われることもあり、これは long dozen と呼ばれます。

有力とされる説はこうです。1266年、イギリス国王ヘンリー3世はパンとエールの価格・品質・重さを小麦の値段に応じて細かく規定する法 Assize of Bread and Ale(パンとエール取締法)を制定しました。重さの足りないパンを売ったパン屋は罰金を科され、悪質な場合はさらし台(pillory)に拘束されることさえあったとされ、1477年のロンドンの年代記には、実際にジョン・マンドゥという名のパン屋がさらし台で罪を認めさせられた記録も残っています。パン生地は焼くたびに水分が抜けて重さが変わるため、1個ごとの重さを正確に揃えるのは難しく、多くのパン屋が保険として1ダースに1個多く添えるようになった、というのがこの説の骨子です。

ただし、この説には弱い部分もあります。英語の慣用句サイトPhrase Finderは、この説を「よくある作り話と違って、どうやら本当らしい」としながらも、法律そのものは個数ではなく重さを規定していたため、「13個目」という数のルールへどう繋がったのかは法の条文からは直接読み取れないと指摘しています。さらに、語源辞典Etymonlineや複数の語源サイトによれば、baker's dozen という言葉自体が文献に現れるのは1596年ごろ(トマス・ナッシュの文書とされる)、あるいは1614年の戯曲が初出という説もあり、どちらにしても1266年の法律からは300年以上あと。つまり法律と言葉の間の直接の証拠は無く、この習慣説は今のところ「有力説」の域を出ていません。

出典は確定していなくても、a baker's dozen=13という数え方自体は現代英語にしっかり根づいています。"a baker's dozen of excuses"(山ほどの言い訳)のように、パンに関係ない場面でも「ちょっとおまけが付いた数」というニュアンスで使われます。ケーキ屋や肉屋には同じ言い回しが無いのも、パン屋だけが厳しい取締りの対象になっていた歴史を考えると、妙に筋が通っている話です。

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The bakery threw in a baker's dozen—thirteen donuts for the price of twelve.
そのパン屋は12個分の値段で13個のドーナツをくれた。

🏷 baker's dozen 13 数字 kigou Assize of Bread and Ale 語源 pillory

❓まとめ

Q. 英語で「パン屋の1ダース a baker's dozen」と言うと、なぜ12個ではなく13個になるのか?

A. 中世イギリスのパン屋が、重さ不足で罰を受けないよう保険として1個多く渡した習慣が有力な語源とされていますが、その習慣を定めた法律の条文と、「baker's dozen」という言葉自体の記録とのあいだには数百年の空白があり、両者を直接つなぐ一次資料はまだ見つかっていません。

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