答えこの禁止ルールは英語そのものの仕組みから出てきたものではなく、19世紀の文法家がラテン語の型を英語に押しつけた結果広まったとする見方が有力です。現在ではオックスフォード英語辞典やシカゴ・マニュアル・オブ・スタイルなど主要な権威がそろって、分離不定詞を誤りとはしていません。

📖くわしく解説します

"To boldly go where no man has gone before."——1966年に始まったドラマ『スタートレック』のこの名文句は、to と go のあいだに boldly を割り込ませた分離不定詞(split infinitive)の代表例として、長らく「文法的に誤り」と教えられてきました。しかしこの禁止ルール自体、英語の歴史をたどってもそこまで古い裏付けは見当たりません。

記録に残る最初期の禁止の言及は、1803年に出版されたジョン・コムリーの文法書『English Grammar Made Easy』とされ、副詞を to と動詞の間に置くべきではないと書かれています。この考え方をより広く知らしめたのが、1864年にカンタベリー大聖堂首席司祭ヘンリー・オールフォードが著した『The Queen's English』です。読者から寄せられた "to scientifically illustrate" という表現に対し、彼は「割る良い理由が見当たらない」と難色を示しました。

なぜこうした禁止が広まったのか。有力とされる説明は、ラテン語の不定詞が amare のようにもともと1語で、物理的に分割しようがなかったことに文法家たちがならった、というものです。2語構成の英語の不定詞に、1語しかないラテン語の型を無理やり当てはめた、という見立てです。ただしこの説明自体、研究者の間では「言語学における一種の言い伝えに近い」と評されることもあり、断定はできません。実際には、チョーサーやシェイクスピアの時代から、to と動詞のあいだに副詞を割り込ませる語順はごく普通に使われていました。

現在ではオックスフォード英語辞典、ケンブリッジ英文法、シカゴ・マニュアル・オブ・スタイルなど、主要な権威がそろって分離不定詞を正しい英語として認めています。『スタートレック』のフレーズが1966年からずっとこの語順のまま親しまれ続けていること自体が、このルールがいかに実際の英語の使われ方から離れていたかを物語っているといえそうです。

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"To boldly go where no man has gone before" became one of the most famous split infinitives in English, and hardly anyone seemed to mind.
「人類がまだ誰も行ったことのない場所へ、大胆に進む」は英語で最も有名な分離不定詞のひとつになったが、気にする人はほとんどいなかった。

🏷 split infinitive 分離不定詞 文法 スタートレック ラテン語 ヘンリー・オールフォード

まとめ

Q. "To boldly go" は文法違反? 「不定詞を割ってはいけない」というルールは、どこから生まれたのか

A. この禁止ルールは英語そのものの仕組みから出てきたものではなく、19世紀の文法家がラテン語の型を英語に押しつけた結果広まったとする見方が有力です。現在ではオックスフォード英語辞典やシカゴ・マニュアル・オブ・スタイルなど主要な権威がそろって、分離不定詞を誤りとはしていません。

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