📖くわしく解説します
tall→taller、big→bigger のように1音節の形容詞は語尾に -er を付けるのに、beautiful→more beautiful、important→more important のように3音節以上になると more を前に置きます。この使い分けは気分やセンスの問題ではなく、単語の音節数というかなり機械的な基準にほぼ沿っています。厄介なのはちょうど中間の2音節で、happy→happier のように -er を取る単語と、modern→more modern のように more を取る単語が混在します。
この「音節数で決まる」というルール自体は、英語がずっと持っていたものではありません。古英語では長さに関係なくすべての形容詞に -ra(現代の -er の元)を付けて比較級を作っており、more を使う言い方はまだありませんでした。OED(オックスフォード英語辞典)が確認する最古の more 型の例は12世紀後半で、ノルマン征服(1066年)以降にフランス語・ラテン語系の語彙が大量に流入した時期と重なります。輸入されたばかりの長い単語は在来の語尾変化になじみにくく、フランス語の plus(more に相当)にならった言い方が広まった、というのが有力な説明です。こうして13世紀ごろから「短い在来語は -er、長い借用語は more」という傾向が形になっていきました。
ただし2音節については今も細かな目安しかありません。-y で終わる語(happy, easy)や-le・-er・-ow で終わる語(simple, clever, narrow)は -er を取りやすく、-ful・-ous・-ing で終わる語(careful, famous, boring)は more を取りやすいとされます。それでも quiet は quieter とも more quiet とも言え、common も commoner と more common の両方が使われるなど、どちらも正解という単語が少なくありません。
このルールが今のように整理されたのは比較的新しく、シェイクスピアの時代(16〜17世紀)にはまだ音節数の原則が定着しておらず、"more near" のような短い語への more と、"eminenter" のような長い語への -er が同じ作品の中に共存していました。「もっとも不親切な一撃」を意味する "the most unkindest cut of all"(『ジュリアス・シーザー』)のように、-er と more を両方重ねる二重比較級まで普通に使われていた時期もあります。今のルールは何百年もかけて少しずつ収束してきた慣用にすぎず、今も commoner が more common に押されつつあるなど、静かに動き続けています。
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❓まとめ
Q. 比較級、なぜ big は bigger なのに beautiful は more beautiful なのか?
A. おおまかには音節の数で決まり、1音節なら -er、3音節以上なら more が基本です。ちょうど境目にあたる2音節の単語だけが、今もどちらでもよい「揺れ」のゾーンとして残っています。