📖くわしく解説します
「If I were you, I wouldn't say that.」を見て、was の間違いだと思う人は多いはずですが、これは誤りではありません。現実には起こりえないこと・自分ではないと分かっている前提を語るとき、be動詞は主語が I や he/she/it の単数であっても was ではなく were を使います。文法用語では仮定法過去(past subjunctive)と呼ばれる形です。
この were、実は古英語の時代までさかのぼる由緒ある形です。古英語のbe動詞には、事実を述べる直説法(wæs, wæron)と、仮定や願望を述べる接続法(wære)という、まったく別の活用がありました。現代英語は動詞の人称変化をほとんど失いましたが、この接続法由来の were だけは、be動詞のこの一点に化石のように残っています。
仮定法の名残りは were 以外にもあります。So be it.(それならそれでいい)、far be it from me(私が言うことではないが)、if need be(必要とあらば)といった決まり文句の be は、すべて三単現の -s が付かない仮定法です。またアメリカ英語ではI suggest that he be reprimanded.のように動詞を原形のまま使う仮定法(mandative subjunctive)を好みますが、イギリス英語ではI suggest that he should be reprimanded.と should を添える言い方のほうが一般的だという対照も知られています。
とはいえ、口語のくだけた会話ではIf I was youと was を使う人も増えており、これを単純な間違いと切り捨てられないほど広まっています。ただしテストや書き言葉では were が今も標準です。「これは事実ではない、ありえない話をしている」というサインが were だと覚えておくと、使い分けに迷わなくなります。
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❓まとめ
Q. 「If I were you」は、なぜ was ではなく were なのか?
A. 現実にはありえない仮定を語る仮定法過去の生き残りで、be動詞だけは主語が単数でも were を使います。were はもともと古英語で「仮定・願望」専用に使われていた活用形です。