答え学校文法の「決まりだから」ではなく、古英語(Old English)が持っていた「V2(動詞第二位)」という語順ルールの生き残りです。言語学ではこの現象を残存V2(residual V2)と呼びます。

📖くわしく解説します

"I love sushi." "So do I." のように、英語の相槌には独特の語順があります。ふつうの英語ならI doとなるはずなのに、このsoの構文では助動詞が主語より先に出て、"So I do." ではなく "So do I." になります。"She has never been to Paris, and neither have I." のneither以下も同じで、I haveではなくhave Iの順です。学校では例外として丸暗記させられますが、これは単なる不規則ではなく、英語の歴史が残した一種の化石です。

現代英語は、主語の位置がほぼ動詞の前に固定されたSVO言語ですが、その祖先である古英語は違いました。古英語の平叙文は、現代のドイツ語やオランダ語と同じくV2語順が基本で、文頭に何が来ても定動詞をちょうど2番目の要素に置くというルールがありました。主語以外の語句——副詞や目的語——が文頭に出ると、主語と動詞の順序は自動的に入れ替わっていたのです。

中英語期にかけて英語は格変化の大半を失い、語順そのもので文の意味を示すSVO言語へと再編されていきます。この過程で、V2規則は一般の文からはほぼ姿を消しました。ところが完全には消えず、ごく限られた構文の中に残りました。疑問文のdo-support(Do you like...?)、否定の副詞を文頭に出したときの倒置(Never have I seen..., Rarely do we...)、そして今回のso/neitherによる同意の相槌です。言語学者はこれらをまとめて残存V2(residual V2)と呼び、古英語の語順規則が特定の文脈にだけ生き延びた痕跡として扱っています。

つまり "So do I." や "Neither have I." に感じるあの倒置感は、文法の例外ではなく、1000年以上前の英語の標準語順がそのまま残った痕跡です。現代のドイツ語話者やオランダ語話者が日常的に使っているV2語順の名残が、英語では短い相槌の一言にだけひっそり息づいている——そう考えると、何気ない "So am I." にも歴史の厚みが宿って見えてきます。

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She has never been to Paris, and neither have I.
彼女はパリに行ったことがなく、私もない。

🏷 inversion V2 residual V2 so do I neither have I Old English word order bunpo

❓まとめ

Q. 英語はSVO(主語→動詞)の語順のはずなのに、なぜ "So do I." や "Neither have I." では動詞と主語がひっくり返るのか?

A. 学校文法の「決まりだから」ではなく、古英語(Old English)が持っていた「V2(動詞第二位)」という語順ルールの生き残りです。言語学ではこの現象を残存V2(residual V2)と呼びます。

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