答えはい。whom は古英語の格変化の生き残りで、2021年に学術誌 Frontiers in Artificial Intelligence に発表されたテキサス大学オースティン校の研究チームの調査では、約300年という長期にわたって使用が減り続けてきたことが分析されています。一方で「格式高く聞こえる」という理由だけで、文法的には要らない場面にまで whom を差し込んでしまうハイパーコレクション(過剰修正)も同時に広がっています。

📖くわしく解説します

"Who did you see?"(目的語なのに who)なのに、"To whom did you speak?"(前置詞のあとは whom)。英語を学んでいると、この who/whom の使い分けだけが妙に浮いて見えてきます。名詞はとっくに「主語でも目的語でも形が変わらない」のが普通になった英語で、なぜ疑問詞・関係詞の who だけ、今も主格の who と目的格の whom を分けて持っているのでしょうか。答えは、whom が英語の格変化の最後の生き残りのひとつだから、というものです。しかもその「最後の生き残り」自体が、今まさに消えかけているところだとわかっています。

古英語の疑問代名詞 hwā(who)には、主格 hwā・属格 hwæs(whose)・対格 hwone・与格 hwām という複数の格がありました。中英語にかけて英語全体の格変化がすり減っていく中で、対格の hwone は使われなくなり、代わりに与格だった hwām が目的語全体(直接目的語・前置詞の後ろ)を受け持つようになります。これがそのまま whom として残りました。he/him、she/her、they/them も同じように「主格・目的格」の2系列を保っていますが、who/whom はその中でもとくに学校の文法や文章作法の話題として意識されやすい組です。

ところが、その whom 自体が長期的に使われなくなってきていることは、言語学の調査でも確認されています。2021年、テキサス大学オースティン校の研究チームが Frontiers in Artificial Intelligence に発表した論文は、whom を「使用が減り続けている単語」のケーススタディとして取り上げ、過去およそ300年の文章データの中で whom の出現頻度と使われる文脈の広がりがどう変化してきたかを分析しました。報告されているのは、whom が長期的な衰退の軌道に乗っている一方、その減り方は文章の形式度(カジュアルな会話か、格式のある文章か)によって残り方が大きく違う、という一様ではない実態です。日常会話では "Who did you talk to?" が当たり前になり、whom は主にフォーマルな文章や "To whom it may concern"(ご担当者様へ)のような決まり文句の中に生き残っている、というのが実感に近い現状です。

面白いのは、whom が消えかけているのと同時に、「格式高く聞こえるから」という理由だけで、文法的には要らない場面にまで whom を差し込んでしまう人が増えていることです。言語学者がよく例に挙げるのが "Whom shall I say is calling?"(どちら様でしょうか、と取り次ぐときの一言)という言い方です。この whom は実は "is calling" の主語であり、本来なら "who" が正しい形です。「whom を使えば賢く見える」という思い込みが、文法的には逆方向の間違いを生んでいるわけで、言語学ではこれをハイパーコレクションと呼びます。多くの英語の文章作法の手引きは、迷ったら "who" を使い、はっきり前置詞の直後にある場合だけ "whom" を使うよう勧めています。消えていく単語が、消える直前になって「正しく使われない形」で生き延びようとしている——whom はその典型例といえます。

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ご担当者様へ:迅速なご返信ありがとうございます。

🏷 whom who 格変化 bunpo 文法 ハイパーコレクション hypercorrection Old English

❓まとめ

Q. "who" と "whom"、使い分けなんてもう要らないのでは? 実は whom は、英語がほとんど失った「格変化」(主語か目的語かで単語の形が変わる仕組み)の最後の生き残りのひとつで、しかも今まさに消えかけている最中だと、言語学の調査が報告しています。

A. はい。whom は古英語の格変化の生き残りで、2021年に学術誌 Frontiers in Artificial Intelligence に発表されたテキサス大学オースティン校の研究チームの調査では、約300年という長期にわたって使用が減り続けてきたことが分析されています。一方で「格式高く聞こえる」という理由だけで、文法的には要らない場面にまで whom を差し込んでしまうハイパーコレクション(過剰修正)も同時に広がっています。

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