📖くわしく解説します
"I'm invited, aren't I?"(私も招待されてるんですよね?)のように、be動詞の否定疑問文で "I" を主語にするときは aren't を使うのが普通の英語です。しかし考えてみると妙な話です。"You aren't late." とは言えますが、"I aren't late." とは誰も言いません。平叙文では成り立たない aren't が、"I" の疑問文でだけ急に現れる。しかも"I am" の規則的な否定形であるはずの "amn't" は、ほとんどの英語話者の口から出てきません。英語の文法には、この部分だけぽっかり穴が空いているのです。
歴史をたどると、この穴の理由がわかります。言語コラムGrammarphobiaによれば、"amn't" は isn't・wasn't と同じ作り方で "am" を否定形にした、もともとは規則的な語でした。Oxford English Dictionaryが記録する最も古い例は1691年、"Athenian Gazette" という刊行物に載った "If I amn't mistaken, the pinch is here." という文です。ただ m と n という発音しにくい子音の並びを嫌って、話者たちは早くから m を落とすようになり、17世紀のうちに an't という形が先に生まれました。そこから18世紀後半にかけて、an't は ain't と aren't という2つの形に分かれていったとされています。
なぜ an't が aren't になったのかについては、綴りの読み方(スペリング・プロナンシエーション)の違いが関係したという説が語られますが、これは推測の域を出ず、確証はありません。はっきりしているのは、ain't はその後の英語でくだけた言い方として広く使われる一方、標準的な文章ではnonstandard(非標準)という扱いを受けるようになったことです。一方の aren't は、疑問文で主語と動詞を倒置する場面に限って定着し、結果的に "I" の否定疑問文を一手に引き受ける形になりました。
では "amn't" は完全に消えたのかというと、そうでもありません。言語学者David Crystalの解説によれば、"amn't" は今でもスコットランドやアイルランドの英語に残っていて、しかも "Amn't I right?" のような倒置形でしか使われない傾向があるといいます。標準英語の辞書は "aren't I?" を正式な表現として載せていますが、これは文法的に筋が通っているからではなく、ほかに生き残った形が無かったからという、いわば消去法の結果です。学校で習う文法規則の多くが「後から作られた思い込み」であるのに対し、こちらは逆に、規則が追いつかないまま空いた穴を話者が実際の発音で埋めてしまった例だといえます。
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❓まとめ
Q. "She isn't late, is she?" のように be動詞の否定疑問文はどれも規則的にできるのに、主語が "I" のときだけ "Amn't I late?" ではなく "Aren't I late?" と言う。なぜ "I" だけ仲間はずれになったのでしょうか?
A. もともと "amn't I?" という、am を isn't・wasn't と同じ要領で否定にした規則的な形がありました。ただ m と n を続けて発音しづらく、17世紀のうちに m が落ちて an't になり、そこから ain't と aren't の2つに分かれて広まったとされています。結果として疑問文の場所だけ aren't が居座り、"I amn't"(平叙文)に対応する標準形は英語から抜け落ちました。