📖くわしく解説します
スニーカー好きの間で昔から語られる雑学に、「adidas は All Day I Dream About Sports(一日中スポーツを夢見る)の略だ」という話があります。1996年には米ロックバンド Korn が、アルバム『Life is Peachy』に収録した楽曲 "A.D.I.D.A.S." でこれを "All day I dream about sex" ともじり、この俗説をさらに有名にしました。もっともらしく響きますが、実際の社名の由来とは関係がありません。
adidas のルーツは、ドイツ・ヘルツォーゲンアウラハでアドルフ(愛称アディ)・ダスラーと兄ルドルフが1924年に始めた靴工場 Gebrüder Dassler Schuhfabrik(ダスラー兄弟製靴工場)にあります。戦後、兄弟は不仲から1948年に袂を分かち、ルドルフは別会社を設立(これが後のプーマです)。アディは1949年8月18日、自分の愛称 Adi と姓 Dassler の最初の数文字 Das を組み合わせた adidas を正式な社名として登録しました。「略語」ではなく、創業者自身の名前そのものだったわけです。
このように、実在する単語や名前に合わせて「さも頭文字らしい」説明を後付けすることを英語でバックロニム(backronym)と呼びます。本コーナーで紹介してきた golf や posh、cop、tip の「実は頭字語」説もすべて同じ現象で、adidas の場合はそこに加えて語感の悪い替え歌がSNSや都市伝説サイトで広まったことが、話をさらに長持ちさせた形です。興味深いのは、adidas 自身がこの俗説を知りながら面白がっている点で、2008年には公式に "All Day I Dream About Sneakers"(一日中スニーカーを夢見る)という洒落たキャンペーンを打っています。
ブランド名や地名に「実はこれ、頭文字なんです」という雑学が出てきたら、一度立ち止まって調べてみる価値があります。多くの場合、本当の由来は創業者の名前や地名の組み合わせといった、もっと地味でもっと確かな話に落ち着きます。adidas の3本線(スリーストライプ)も、実はフィンランドのスポーツ用品会社 Karhu から買い取ったものだという、こちらは裏付けのある逸話が別に残っています。
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❓まとめ
Q. スポーツブランドの adidas(アディダス)は "All Day I Dream About Sports"(一日中スポーツを夢見る)の頭文字だ、という話を聞いたことはありませんか? 本当でしょうか?
A. いいえ、これは後から作られた俗説(バックロニム)です。adidas は創業者アドルフ・ダスラーの愛称 Adi と、姓 Dassler の最初の部分 Das をつなげた名前で、1949年に正式な社名として登録されました。「略語」めいた由来はすべて、名前が先にあって後からこじつけられたものです。