📖くわしく解説します
バーベキューで動物を丸焼きにするとき、あご髭のあたりから尻尾まで串を通して焼くから、フランス語のbarbe à queue(あご髭から尻尾まで)が barbecue の語源だ――もっともらしいこの説明を聞いたことがあるかもしれません。英語圏でも長年語り継がれてきた話ですが、Oxford English Dictionary(OED)はこれを「単に語の響きから思いつかれた、根拠のないこじつけ」とはっきり否定しています。
実際の語源はフランス語ではなく、カリブ海の先住民タイノ族の言葉barabicuないしbarbacoaです。スペインの探検家ゴンサロ・フェルナンデス・デ・オビエドが1526年に刊行した記録の中で、タイノの人々が使うこの語をすでに書き残しています。ただしこの語が指していたのは「丸焼きの調理法」そのものではなく、地面より高い位置に組んだ木の骨組み(架台)のことでした。
この木組みは1つで2つの役目を兼ねていました。虫や湿気、地を這う生き物を避けるための寝床として使われる一方、その上に肉や魚を乗せて弱火でじっくり燻し、乾燥させる調理台としても使われていたのです。1697年に刊行されたイギリス人探検家ウィリアム・ダンピアの航海記でも、英語に取り込まれたこの語はまず「寝床」を指す意味で登場しています。
つまり barbecue は、フランス語経由の洒落た合成語ではなく、スペイン語 barbacoa を経由して英語に入ったタイノ語からの借用語でした。「あご髭から尻尾まで」という説明は、それらしい響きと丸焼き料理のイメージがたまたま重なったために広まった、典型的な民間語源の一例と言えます。
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❓まとめ
Q. バーベキューの barbecue、語源はフランス語で「あご髭から尻尾まで(barbe à queue)」丸ごと焼くから?
A. これは俗説です。barbecueの語源はフランス語ではなく、カリブ海の先住民タイノ族の言葉barbacoa。動物を丸焼きにする洒落た言い回しではなく、もとは単なる「木の骨組み」を指す言葉でした。Oxford English Dictionary もフランス語由来説を「音の響きだけから思いついたこじつけ」と明言しています。