📖くわしく解説します
教会の塔時計や祖父時計、高級腕時計まで、ローマ数字を使う文字盤の大多数は、4時の位置を文法的に正しいIVではなく、Iを4つ並べただけのIIIIで表記します。ところが同じ文字盤の9時の位置は、律儀に減算式のIXのままです。4だけルールを外れて9は外れない、この不揃いさが長年にわたり時計好きを悩ませてきた小さな謎です。
もっとも有力とされているのが視覚的なバランスを理由とする説明です。IIIIのように縦棒4本の重みのある表記にすると、円の反対側にある8時のVIIIと釣り合いが取れ、文字盤全体が安定して見えるという主張です。さらにIIIIを採用すると、1〜12の並びがI系が4個・V系が4個・X系が4個という整った3組に分かれ、職人にとって鋳型や彫りの型を使い回しやすかったという実用面の利点を挙げる説もあります。
一方で歴史の逸話として語られるのが王様の機嫌説です。フランス王シャルル5世が、自分の数字であるVから1を引く形になるIVを不吉と感じ、時計職人にIIIIへ改めさせたという話が広く伝わっています。ただしこの逸話を裏づける同時代の記録は見つかっておらず、後世に作られた言い伝えである可能性が高いとされています。ほかにも、主神ユピテル(IVPPITER)の綴りに数字のIVが含まれることを畏れ多いとした説なども語られますが、いずれも確証はありません。
面白いのは、これほど多くの説があるにもかかわらず、当のイギリス・ロンドンにあるビッグベンは数少ない例外のひとつで、文字盤には文法的に正しいIVが刻まれている点です。IIIIとIV、どちらの表記にも明確な「正解」はなく、時計業界では今もどちらも現役で使われています。ローマ数字の時計を見かけたら、4時の表記がどちらになっているか確かめてみると、思わぬ発見があるかもしれません。
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❓まとめ
Q. 時計の文字盤の4時、なぜローマ数字はIVではなくIIIIと表記されているのか?
A. 塔時計から腕時計まで、ローマ数字の文字盤の多くは4を正しいIVではなくIを4つ並べたIIIIと書きます。理由は諸説あり、意匠上のバランスを整えるためという説から、ある国王の逆鱗に触れたからという言い伝えまで、決定的な答えは今も見つかっていません。