答えはい。サイレント映画の時代、恋愛劇などの冗長な場面を切り詰め、観客が本当に見たい追跡シーン(chase scene)へ編集で飛ばす、という撮影所の実務用語がもとになっています。1929年の小説にト書き(演出指示)として初めて記録が残り、そこから「余計な部分を飛ばして要点に入る」という比喩的な意味に広がりました。

📖くわしく解説します

"Cut to the chase." は英語で「本題に入ろう」「要点だけ言ってくれ」を意味する決まり文句です。初めて聞くと、なぜ「追いかける」を意味する chase がここに出てくるのか見当がつきません。実はこの chase、動物や犯人を追いかける一般的な意味ではなく、サイレント映画時代に量産された追跡シーン入りの活劇・ロマンス映画を指す、撮影所の業界用語だったのです。

1910〜20年代のサイレント喜劇やロマンス映画には、ある決まった構成がありました。恋愛のすれ違いや筋書き上のドラマを延々と見せたあと、最後に観客が本当に盛り上がる追跡の活劇シーンで締める、という型です。編集技師たちは、冗長な場面を切り詰めて一気にこの見せ場へ飛ぶ編集方針を「cut to the chase」(追跡シーンへカットする)と呼んでいました。ここでの cut は、映画編集で「場面転換する」ことを指す専門語です。

言葉自体の最初の記録として複数の語源サイトが挙げるのは、1929年に出版されたJ・P・マケヴォイの小説 Hollywood Girl です。この中で "Cut to chase." が、まさに台本のト書きとして使われています。語源サイトWordorigins.orgやGrammarphobiaによれば、1930年代には脚本術を教える講師たちが「迷ったら追跡シーンへ飛べ」という格言として駆け出しの脚本家に教えており、1934年のミネアポリス・トリビューン紙には、ある映画会社幹部の部屋の壁に "Cut to the chase!" という標語が掲げられていたという記述も残っています。

「本題に入る」という今の比喩的な意味がいつ定着したかは資料によって差があり、諸説あります。Grammarphobiaは1929年の記録から十数年ほど印刷物での再登場が確認できないとしており、Merriam-Websterは比喩的な用法の確立を1955年としています。1947年のマサチューセッツの新聞が早い例として挙げられることもありますが、出典の信頼性は資料ごとに異なります。それでも「映画撮影所の編集用語が日常語になった」という大筋そのものは複数の語源サイトが一致して裏付けており、裏方の業界用語が今やビジネス会議の決まり文句として生き残っているのは面白い巡り合わせです。

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Can we cut to the chase and talk about the budget?
本題に入って予算の話をしてもいいですか?

🏷 cut to the chase 本題 idiom 慣用句 サイレント映画 映画編集用語 chase scene

❓まとめ

Q. "Cut to the chase."(本題に入ろう)という言い回し、なぜ「追いかける」を意味する chase が出てくるのか? 実はサイレント映画時代の編集用語がそのまま日常語になったのだと知っていましたか?

A. はい。サイレント映画の時代、恋愛劇などの冗長な場面を切り詰め、観客が本当に見たい追跡シーン(chase scene)へ編集で飛ばす、という撮影所の実務用語がもとになっています。1929年の小説にト書き(演出指示)として初めて記録が残り、そこから「余計な部分を飛ばして要点に入る」という比喩的な意味に広がりました。

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