答え1930年代にアメリカの教科書の単語を調べた研究では、「iの後にe」の部分はおよそ6割強しか当てはまらず「cの後だけはeが先」という部分に至っては、対象語のごく一部にしか当てはまりませんでした。weird(奇妙な)や seize(つかむ)のように、この呪文自体が変則例に数え切れないほど裏切られています。

📖くわしく解説します

"i before e, except after c"(iの後にe、ただしcの後はeが先)。英語圏の小学校で綴りを覚えるときに唱えさせられる、超定番の呪文です。receive、ceiling、perceive のように c の直後は確かに ei になる——ここまでは合っています。ところが weird、seize、height、foreign、their のように、cが無いのに ei になる単語が山のようにあり、この呪文を鵜呑みにすると逆に綴りを間違える場面が少なくありません。

この言い回し自体は意外と古く、1866年刊行の綴り方教本『Manual of English Spelling』に脚注として登場した記録が残っています。研究者の中には、それ以前の1834年ごろの教本にもすでに似た趣旨の説明が散文の形で存在していたと指摘する人もおり、少なくとも150年以上前から使われてきた学習用の語呂合わせだということが分かります。

この呪文の当てにならなさを数字で示したのが、1932年にアメリカの心理学者レナード・B・ウィートが行った調査です。当時の小学校用綴り方教科書に出てくる単語3,876語を調べたところ、ei または ie を含む単語はわずか128語。そのうち「iの後にe」に従っていたのは83語(約65%)だった一方、「cの後だけはeが先」の条件に当てはまる語はたった6語しかありませんでした。呪文の後半部分は、実用上ほとんど機能していないに等しい数字です。

食い違いの背景には、単語ごとの生い立ちの違いがあるとされます。receive や conceive のように rule に従う語の多くはフランス語・ラテン語系の借用語で、c の後に ei と綴る綴字習慣を保っているのに対し、weird や neighbor、eight のように rule を破る語の多くは古英語やゲルマン語系の古い語で、もともと別の綴りの理屈で発音とスペルが決まっていました。出自の異なる単語群を1つの呪文でまとめて説明しようとしたところに、そもそも無理があったというわけです。実用的には、この呪文を鵜呑みにするより、頻出する例外語(weird, seize, either, height, foreign)を個別に覚えるほうが確実だとする指摘も少なくありません。

スポンサーリンク

🔊この話に出てきた英語を使ってみる

音声ボタンを押すと、ネイティブ発音で読み上げます。

It's more than a little ironic that the word "weird" itself breaks the very "i before e" rule it seems to describe.
「weird(奇妙な)」という単語自体が、その名の通り「iの後にe」ルールを破っているのは何とも皮肉だ。

🏷 i before e スペルと発音 綴りのルール weird seize 語呂合わせ

まとめ

Q. 「iの後にe、ただしcの後だけはeが先」という綴りの呪文、実際にはどれくらい当てになるのか?

A. 1930年代にアメリカの教科書の単語を調べた研究では、「iの後にe」の部分はおよそ6割強しか当てはまらず「cの後だけはeが先」という部分に至っては、対象語のごく一部にしか当てはまりませんでした。weird(奇妙な)や seize(つかむ)のように、この呪文自体が変則例に数え切れないほど裏切られています。

✍️スペルと発音のナゾ の他のネタ

💡 英語の雑学・豆知識をすべて見る