答え帽子作りに水銀を使っていたため、職人が神経をやられて震えや幻覚を起こしたから(有力説)。
📖くわしく解説します
19世紀のフェルト帽子づくりでは、硝酸水銀で獣の毛を加工していました。換気の悪い作業場で毎日その蒸気を吸えば当然、水銀中毒になります。症状は手の震え、ろれつが回らない、被害妄想、幻覚——まさに「気が狂ったように見える」状態でした。
この職業病は当時「帽子屋の震え(hatter's shakes)」と呼ばれ、社会問題にもなっていました。アメリカでこの製法が禁止されたのは、なんと1941年のことです。
ただし言い回し自体が水銀中毒より古い可能性も指摘されており、断定はできません。『不思議の国のアリス』の帽子屋がこのイメージを決定づけたのは確かですが、キャロルが語源を作ったわけではなく、すでにあった表現を使っただけです。
水銀中毒が「帽子屋の病気」として知られていた証拠は、当時の医学文献にはっきり残っています。震え、歯が抜ける、記憶障害、極端な人見知り——症状は職人の一生を壊すものでした。言葉の面白さの裏に、労働災害の歴史があることは押さえておきたいところです。
ちなみに『不思議の国のアリス』の登場人物の正式名は the Hatter で、Mad Hatter とは一度も書かれていません。読者が慣用句と結びつけて呼ぶようになったものです。作品が語源を作ったのではなく、慣用句が作品の呼び名を作った——順番が逆なのが面白いところです。
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🔊この話に出てきた英語を使ってみる
音声ボタンを押すと、ネイティブ発音で読み上げます。
He quit his job to sail around the world — mad as a hatter.
世界一周のために仕事を辞めたんだって。イカれてるよ。
❓まとめ
Q. mad as a hatter(完全にイカれている)の hatter は、なぜ帽子屋?
A. 帽子作りに水銀を使っていたため、職人が神経をやられて震えや幻覚を起こしたから(有力説)。
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