答え強烈なにおいの燻製ニシン。猟犬の鼻を狂わせる、という話から来ています。
📖くわしく解説します
ニシンを塩漬けにして燻すと、赤茶色になってとんでもない悪臭を放ちます。これを地面に引きずれば、獲物の匂いを追う猟犬は簡単に惑わされる——という話が語源とされています。
ただし「猟犬の訓練に実際に使っていた」という部分は、どうやら後付けです。この比喩を広めたのは1807年のジャーナリスト、ウィリアム・コベット。彼が政治批判の中で「自分は昔これで猟犬を欺いたことがある」と書いたのですが、その体験談自体が創作だった可能性が高いと指摘されています。
現在ではミステリー小説の用語としてすっかり定着しました。読者を犯人から遠ざけるために置かれた偽の手がかり——それが red herring です。
ミステリーの用語として定着したことで、この表現は作り手側の言葉にもなりました。plant a red herring(偽の手がかりを仕込む)は、脚本や小説の作法を語るときの定番表現です。
日常でも十分に使えます。議論の途中で相手が関係のない話を持ち出したとき、That's a red herring. と言えば「それは論点そらしです」と一言で指摘できます。論理学では正式な誤謬の名前にもなっており、議論の場では強い一撃になります。
スポンサーリンク
🔊この話に出てきた英語を使ってみる
音声ボタンを押すと、ネイティブ発音で読み上げます。
That witness was just a red herring.
あの証人は、ただの目くらましだったんだ。
❓まとめ
Q. red herring(人の注意をそらすもの)の「赤いニシン」って何?
A. 強烈なにおいの燻製ニシン。猟犬の鼻を狂わせる、という話から来ています。
🍺慣用句のウラ側 の他のネタ
結婚式の直前に腰が引けてしまうことを、英語では get cold feet(足が冷たくなる)と言います。なぜ「怖気づく」ことが、足の冷たさで表されるようになったのでしょうか?
骨折り損の「無駄な追いかけっこ」を意味する wild goose chase(ワイルド・グース・チェイス)。なぜ、わざわざ「野生の雁」が出てくるのでしょうか?
"Are you pulling my leg?"(からかってるの?)——「脚を引っ張る」がなぜ「からかう・だます」になるのか、ネット上では処刑場の物騒な逸話がよく語られますが、本当でしょうか?
"Cut to the chase."(本題に入ろう)という言い回し、なぜ「追いかける」を意味する chase が出てくるのか? 実はサイレント映画時代の編集用語がそのまま日常語になったのだと知っていましたか?