答えこの賭けの逸話が文献に初めて現れるのは1835年前後で、賭けがあったとされる1791年から40年以上も後です。しかも quiz という単語自体は賭けの9年前、1782年の日記にすでに記録があり、語源は「不明」というのが辞書の正直な結論です。

📖くわしく解説します

有名な逸話はこうです。1791年、ダブリンの劇場経営者リチャード・デイリーは、友人たちと「誰も聞いたことのない無意味な単語を、48時間以内にダブリン中に広められるか」という賭けをしました。デイリーは配下の者たちにquizという文字を街のあちこちの壁に書かせ、翌朝には市民が「quiz って何だ?」と口々に言い合うようになり、賭けに勝った——というものです。これが本当なら、quiz はたった一晩で生まれた単語ということになります。

ところが、この話の裏付けは驚くほど薄いのです。デイリーの賭けの逸話が文献に初めて登場するのは1835年前後で、賭けがあったとされる1791年から40年以上も後になってからです。さらに決定的なのは、quiz という単語そのものが賭けより前からすでに使われていたという点です。作家フランシス・バーニーの1782年6月24日の日記にこの語が出てくることが確認されており、デイリーの賭けより9年も前に存在していました。

では本当の語源は何なのか。実のところ、Merriam-WebsterやEtymonlineといった辞書も「語源は歴史の中で失われた、不明」と率直に認めています。ラテン語で「あなたは誰か」を意味するQui es?の略という説や、inquisitive(根ほり葉ほり聞く)の短縮という説も語られますが、いずれも推測の域を出ません。興味深いのは、1789年ごろのロンドンにもquozという無意味な単語を同様に賭けで流行させたという、よく似た逸話が先に存在していたことで、ダブリンの話はこれを下敷きにした可能性も指摘されています。

もともとの quiz は「試験」ではなく、ちょっと変わった人、冷やかす人を指すスラングでした。今も形容詞quizzical(いぶかしげな、妙な)にその名残が残っています。「根ほり葉ほり問いただす」という使い方を経て、19世紀のうちに今の「簡単な試験・クイズ」という意味に変わっていきました。golf や posh と同じように、本当の語源が分からないときほど、もっともらしい逸話が後から作られやすいという、この連載で繰り返し見てきたパターンがここにもあります。

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The true origin of the word "quiz" has puzzled etymologists for over two centuries.
quiz という単語の本当の語源は、200年以上にわたって語源学者たちを悩ませてきた。

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❓まとめ

Q. 英語の quiz という単語、1791年にダブリンの劇場経営者が「誰も知らない言葉を48時間でダブリン中に広められるか」と賭けをして生まれた——という有名な逸話がありますが、本当でしょうか?

A. この賭けの逸話が文献に初めて現れるのは1835年前後で、賭けがあったとされる1791年から40年以上も後です。しかも quiz という単語自体は賭けの9年前、1782年の日記にすでに記録があり、語源は「不明」というのが辞書の正直な結論です。

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