答え「傷を蝋で埋めた彫像」の話は完全な作り話。sincerus はもともと「純粋な」という一語です。
📖くわしく解説します
有名な説はこうです。「古代ローマの彫刻家は、失敗した部分を蝋で埋めてごまかした。だから蝋のない(sine cera)彫像が『本物』を意味し、sincere になった」。スピーチのネタとして完璧なのですが、語源としては成立しません。
ラテン語の sincerus は分解できない一語で、意味は最初から「純粋な、混ざり物のない」。ワインや蜂蜜が薄められていない状態を指すのに使われました。sine(〜なしに)+ cera(蝋)という分解は、後世の人が音の似ている単語を当てはめた民間語源です。
この手の話には共通の見分け方があります。「その説明があまりにも教訓として出来すぎているとき」は、まず疑ってください。本物の語源は、たいていもっと地味です。
この彫像の話が特に厄介なのは、ビジネス書や自己啓発の講演で今も語られ続けていることです。教訓としてよくできているぶん、訂正が追いつきません。
ついでに sincere の使い方も押さえておきましょう。Sincerely, は英文メールの結びとして最も標準的な形で、相手の名前を知っているときに使います。名前が分からない場合の伝統的な結びは Yours faithfully,(イギリス式)。ただし現代のビジネスメールでは Best regards, が最も無難で、迷ったらこれで問題ありません。
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🔊この話に出てきた英語を使ってみる
音声ボタンを押すと、ネイティブ発音で読み上げます。
Please accept my sincere apologies.
心からお詫び申し上げます。
❓まとめ
Q. sincere は「蝋(ろう)なし = ごまかしなし」が語源 — というのはガセ
A. 「傷を蝋で埋めた彫像」の話は完全な作り話。sincerus はもともと「純粋な」という一語です。