📖くわしく解説します
face the musicは、失敗や過ちの結果を、逃げずに引き受けるという意味の慣用句です。文字どおりには「音楽に向き合う」ですが、なぜ音楽が罰や責任と結びつくのか、実ははっきりした結論が出ていません。文献上もっとも古い用例は1774年のイギリスの雑誌The London Magazineまで遡りますが、慣用句として広く使われ出したのは19世紀半ばのアメリカとされ、1850年前後から急に用例が増えます。
有力な説のひとつが劇場起源説です。舞台に立つ役者のすぐ手前には、演奏者が並ぶオーケストラピットがあります。緊張して逃げ出したくなるような場面でも、役者は舞台の下に陣取る辛口の演奏者たちの視線を浴びながら、正面を向いて演じきるしかありません。この「音楽隊に向き合う勇気」が語源だ、という説明です。
もうひとつが軍隊起源説ですが、こちらは論者によって中身がバラバラです。不名誉除隊になった士官が、軍楽隊の演奏の中を隊列の前で歩かされたという説、整列した兵士が正面に構えた軍楽隊と向き合う点呼の場面を指すという説、さらには騎兵が演奏中も暴れる馬を落ち着かせる訓練を指すという説まであります。英語の語源研究で知られるマイケル・クワイニオンも「軍隊起源だとする論者どうしで、内容がまったく一致しない」と指摘しています。
つまり劇場説・軍隊説のどちらにも決め手となる同時代の記録はなく、語源は今も未確定というのが実情です。それでも意味そのものは19世紀からほぼ変わらず、不祥事や失敗の後に言い訳せず結果を受け止める場面で使われ続けています。試験の不合格、会社での失態、隠していた過ちの発覚——「そろそろ潔く face the music するときだ」という具合に、現代の会話でも普通に登場します。
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❓まとめ
Q. face the music(結果を引き受ける)は、なぜ「音楽」に向き合うことだと言うのか?
A. はっきりした結論は出ていません。舞台裏でオーケストラと向き合う劇場説と、除隊の行進で軍楽隊の前を歩かされる軍隊説が有力候補として語られますが、いずれも決め手となる同時代の記録はなく、語源は不明のままです。