答えイタリア語 mala aria から。湿地の悪い空気が原因だと信じられていたためです。
📖くわしく解説します
マラリアの原因が蚊が媒介する原虫だと分かったのは19世紀末のこと。それまでヨーロッパでは、沼地から立ちのぼる「悪い空気(mala aria)」を吸うと発症すると信じられていました。
この「瘴気(しょうき)説」は当時の主流理論で、都市の衛生政策までこの考えに基づいて作られていました。結果として湿地の排水が進み、蚊の繁殖地が減って感染が実際に減った——理屈は間違っていたのに、対策は当たっていたという皮肉な例です。
原因が判明したあとも名前だけが残りました。病名は、その病気が理解されていなかった時代の化石でもあります。同じ例に、狂犬病の rabies(ラテン語で「狂気」)があります。
瘴気説の敗北は、科学史でも有名な逆転劇です。1897年、イギリスのロナルド・ロスが蚊の体内でマラリア原虫を発見し、感染経路が確定しました。彼はこの功績で1902年にノーベル賞を受賞しています。
病名が誤解の化石になっている例はほかにもあります。influenza(星の影響)、rabies(狂気)、lumbago(腰痛)。そしてmalaise(何となく調子が悪い)も同じ mal-(悪い)の仲間です。mal- が見えたら悪い——malfunction、malnutrition、malicious と、一気に覚えられます。
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🔊この話に出てきた英語を使ってみる
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He caught malaria while traveling.
彼は旅行中にマラリアにかかった。
❓まとめ
Q. malaria(マラリア)の直訳は「悪い空気」
A. イタリア語 mala aria から。湿地の悪い空気が原因だと信じられていたためです。