📖くわしく解説します
sofa(ソファ)は、1620年代にトルコ語 sofa を経由して英語に入った外来語です。もとをたどるとアラビア語のṣuffa(スッファ)に行き着き、これは石や木でできた「一段高い腰掛け・寝台」を指す言葉でした。当時は今のクッション張りのソファとはかけ離れた質素な石の台で、「詰め物をした長椅子」という今の意味が英語で定着したのは1717年ごろとされています。
coffee(コーヒー)も同じくアラビア語が出発点です。語源のqahwahは、オスマン帝国のトルコ語で kahve となり、そこからオランダ語 koffie を経て、1582年に英語 coffee として定着しました。ただし qahwah という言葉自体がなぜこの飲み物を指すようになったかは諸説あります。中世のアラビア語辞典は「食欲をなくすもの」を意味する動詞に由来するとし、ワインの婉曲表現だったとする説や、単に「黒いもの」を意味していたとする説、さらには原産地とされるエチオピアのカッファ地方の地名が語源だという説まであり、確証は得られていません。
lemon(レモン)は、14世紀末から15世紀初め頃、古フランス語 limon を通じて英語に入りました。その先はアラビア語laymūn、さらにペルシア語līmūとたどれますが、ペルシア語より前の出どころは不明です。サンスクリット語で「ライム」を指す nimbū と同系統ではないかとする説や、東南アジアのマレー諸語圏まで遡る語だとする説もありますが、いずれも確定していません。アラビア商人が9〜10世紀ごろインドからレバント地方へ柑橘類を持ち込んだ際、言葉ごと運ばれてきたと考えられています。
腰掛け・飲み物・果物という日用品が、揃って中世のアラビア語圏を経由して英語に流れ込んでいるのは偶然ではありません。中世から近世にかけて、地中海貿易とオスマン帝国を介した交易路が、ヨーロッパに物とその名前をセットで運び込んでいたためです。admiral(提督)や alcohol もアラビア語由来でしたが、sofa や coffee のように今も毎日使う単語にまで浸透している点を見ると、アラビア語が英語に残した足跡の広さがあらためて実感できます。
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❓まとめ
Q. sofa(ソファ)、coffee(コーヒー)、lemon(レモン)。この3つの日用品、実はぜんぶアラビア語がルーツだと知っていましたか?
A. 3語ともアラビア語がルーツの外来語です。sofa は石の腰掛けを意味するṣuffa、coffee はqahwah、lemon はアラビア語laymūn(さらにペルシア語 līmū)から来ていて、トルコ語やオランダ語、古フランス語を経由して英語に定着しました。